【イベントのご案内】2016年10月15日 「難民・国籍・アイデンティティ」無国籍ネットワークトークイベント

近年、シリア難民をはじめとする多くの難民・強制移民の移動により、特にヨーロッパ諸国による難民の受け入れと国境管理や排斥運動など問題が大きく報道されるようになりました。難民の人道的な受け入れと、難民・移民の統合、国民と国家の関係、ナショナリティとナショナル・アイデンティティの問題が注目されています。

日本も70年代後半からベトナム戦争から逃れる人たちを難民として受け入れ、それ以降もミャンマーや他の国から難民を受け入れ続けてきました。数こそ多くはありませんが難民の長期滞在と定住化、さらに帰化も徐々に進んでおり、もはや難民の社会統合は他国の問題ではなくなっています。そこで、今回のイベントでは難民と国民国家との関係、国籍問題、そして受け入れ側の国民国家における社会統合、国籍、ナショナル・アイデンティティについて考えたいと思っています。

今回は二つのセッションに分けて行います。第一部では池辺利奈さんが「在日ロヒンギャのアイデンティティの変容」について報告し、第二部はワークショップという形で皆さんと一緒に国民国家、国籍、ナショナル・アイデンティティについてともに考えたいと思っています。

 

日時:2016年10月15日(土)14:00 – 16:00

場所:早稲田キャンパス 169-8050 新宿区西早稲田1-6-1 アクセス

11号間508号室 キャンパスマップ

 

第一部 研究報告

報告者: 池辺利奈

タイトル:在日ロヒンギャのアイデンティティの変容

要旨:修士論文テーマである「在日ロヒンギャのアイデンティティの変容」について報告します。本研究では、日本に暮らすロヒンギャ難民の個人の背景事情を質的に捉え、彼らの民族的アイデンティティの形成過程を辿ります。これまでの移民・難民のアイデンティティ研究では、難民は移民の下位概念として捉えられ、Phinney(1991)の民族的アイデンティティ発達理論が一般的に広く支持されてきました。しかしながら難民は、迫害経験や祖国からの脱出や繰り返される国家間移動など独自の「難民経験」有し、それゆえ難民は、より複雑なアイデンティティ形成プロセスを経験する可能性も推察されます。そこで本報告では彼らの独自のコンテクストを考慮した時にどのような理論が彼らの民族的アイデンティティを説明し得るのか、協力者の語りに注目した質的調査を通して検討します。

 

第二部 ワークショップ・グループディスカッション

モデレーター: マキンタヤ スティーブン

タイトル:難民と国籍とアイデンティティについて国民国家とナショナリティについて考える

 

国民国家の形成と、難民・無国籍問題は切り離して考えることはできない。つまり、国家のメンバーとされると国民とそれ以外の人々について考える必要があるでしょう。自由と民主主義が謳われている近代国民国家における国家と国民の関係とはどういったものでしょうか。それはどうあるべきなのでしょうか。国籍を与えられる条件とは何か。移民や難民はまず受け入れ国に同化してから国籍が与えられるべきなのか、それとも国籍を与えられてから徐々に統合されるべきなのでしょうか。難民、無国籍者に視点を当てながら、国民国家のあり方とその課題について考えます。

 

 

報告者:池辺利奈(いけべ りな)

国際基督教大学大学院修士課程修了。

大学院では心理学的側面から在住外国人について研究中。

無国籍ネットワーク運営委員

 

ワークショップ司会:Stephen McIntyre (スティーブン・マキンタヤ)

オーストラリア人、日本生まれ

一橋大学社会学研究科大学院修士課程在学中

難民受け入れ政策、無国籍と国籍剥奪の問題、難民・庇護申請者自らの権利獲得に向けての能動的な活動等について研究

無国籍ネットワーク運営委員

 

【イベントレポート】2016年9月7日〜13日 タイスタディツアー

2016年9月7日〜13日にタイスタディツアーが開催されました。

本ツアーは、無国籍ネットワーク会員である立教大学社会学部准教授 石井香世子氏が企画・準備をを担当され、立教大学社会学部石井ゼミ、東京大学東洋文化研究所 池本研究室との合同企画として、開催されました。

現地での様子をツアーに参加された鈴木崇仁さんがまとめて下さったので、ご紹介いたします。

 

—————————————————————————————————

payao%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e3%80%80%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%ab%e3%82%99%e3%83%ab%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%8b%e3%83%83%e3%82%afPAYAO大学で行われているリーガルクリニックに同行

させていただき、無国籍の人々に対する法律相談の様

子を見学しました。そこでは、どのようにすれば国籍

を取得できるようになるかを相談していました。みな

さん、真剣な様子で互いの話を聞いていました。タイ

人であることは思ったよりも様々な方法で証明できる

ことが分かりました。

payao%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e3%80%80%e3%83%9f%e3%83%8b%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bcPAYAO大学を見学させてもらいました。と

ても広いので、大学内の人々はバイクやバ

スなどで移動していました。ここでは無

籍にするセミナーが開かれ、日本とタイ

の無国籍問題を研究している者同士で親交

を深めました。

 

payap%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e3%80%80%e6%95%99%e6%8e%88%e3%81%b8%e3%81%ae%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%92%e3%82%99%e3%83%a5%e3%83%bcPAYAO大学にて、無国籍の教授にお話を聞くことがで

きました。終始、和やかな雰囲気の中でインタビュー

が行われ、今までの人生で経験したことをお話しして

いただきました。無国籍ということが障害になった経

験もあったそうです。無国籍の方の生の声を聴くという

貴重な体験をすることができました。

%e7%a7%bb%e6%b0%91%e3%81%ae%e6%96%b9%e3%81%b8%e3%81%ae%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%92%e3%82%99%e3%83%a5%e3%83%bcチェンマイの飛行場に近い村で、移民の方にお話をお

聞きしました。インタビューはこの方の自宅で行われ、

お水を出してくれるなど、親切な対応をしていただき

ました。タイに来るまでの過酷な体験の話や、今現在

の生活の様子をお話しいただきました。また、家の中

でインタビューが行われたので、実際の暮らしぶりを

体感できる貴重な機会となりました。

%e3%82%bf%e3%83%9e%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%88%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e3%80%80%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9b%e3%82%9a%e3%82%b7%e3%82%99%e3%82%a6%e3%83%a0

Thanmmasat大学のランパーンキャンパスで

無国籍に関するシンポジウムが開かれました。

ここではタイ国内において無国籍問題に取

組んでいる多くの人々が出席しました。各団

体からプレゼンテーションが行われ、現在の

無国籍の状況を知ることができました。

鈴木 崇仁

【イベントレポート】2016年7月3日「第2回 無国籍について基礎から学ぶ」無国籍ネットワーク・トークイベント

OLYMPUS DIGITAL CAMERA本年度第2回のトークイベント(2016年7月3日)では、「日本における国会審議に見る無国籍:自由権規約をめぐる議論を通して」、「中央アジア・タジキスタンにおける無国籍問題」と題した発表が行われ、20人が参加しました。

前半は秋山肇運営委員が、日本の国籍法において、無国籍の予防という観点から自由権規約を中心とした国際条約と比較し、国際法が日本の国籍法にどのような影響を与え、ま、過去の国会においてどのような議論がなされていたかを話しました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA後半は元UNHCR職員の小川雅代氏においでいただき、中央アジア、特にタジキスタンにおける無国籍問題についてとても分かりやすく説明していただきました。中央アジアで無国籍になる主な原因は国家継承に寄るものです。旧ソビエト連邦の崩壊後、例えば、タジキスタンとウズベキスタンの国境地域で移動した人々には、法律の衝突、行政手続きの問題、情報の欠如などによって無国籍になってしまった人が多いとのことでした。田舎でも、次第に身分証明を要求されるようになり、子どもの就学にも問題が出てきました。貧しい農村部では、出稼ぎ収入に頼って生活している家族も少なくありません。パスポートは、出稼ぎに行くには、なくてはならない物になっています。無国籍を予防し、既存の無国籍状況を改善するためには、政府が無国籍を決める基準をしっかりと定め、無国籍者の数を先ず把握することが大事だということがわかりました。

出席者へのアンケートでは、法と国籍の関係性の難しさを実感したという感想や、旧ソ連における無国籍者の状況について学ぶことができ、さらに知りたくなったという感想が寄せられました。

 

無国籍ネットワークユース 金 叡珍

【イベントレポート】2016年6月29日「第1回 無国籍について基礎から学ぶ」無国籍ネットワーク・トークイベント

今年、無国籍ネットワーク運営委員会は数名の新しいメンバーを迎えました。また、早稲田大学の学生を中心に2年前に設立された無国籍ネットワークユースの活躍の場も広がっています。そこで、基礎から無国籍についてしっかり学ぶため、ご関心のある皆さまにもご参加いただき、トークイベントを開催していくことにしました。

本年度第1回目(2016年6月29日)は「無国籍と国籍法」、「日本における無国籍少数民族ロヒンギャの実態」の二つをテーマに取り上げました。平日夜にもかかわらず、18名が早稲田大学に集まりました。

 

「無国籍と国際法」では、無国籍ネットワークの運営委員に就任したばかりの秋山肇が、国際法と国内法の違い、条約と慣習法の違い、という基礎から説明を始めました。更に、無国籍の定義や、二つの無国籍に関する国際条約の特徴について詳しく解説し、それから無国籍に関係する他の国際条約や国連高等弁務官事務所の役割について簡単に触れると、35分はあっという間に過ぎました。質問が次々にでました。「無国籍者の地位に関する条約」で定められている権利が定着の度合いにより異なるという説明に対し、その定着の度合いの基準とは何か。国家にとって無国籍に関する国際条約を締結するメリットとは。質問への答えを含め、詳しい情報は、秋山が調査を手伝い、翻訳も担当した新垣修著『無国籍条約と日本の国内法』にも記されていますが、難しいと敬遠しがちな法律の要点をわかりやすく解説してもらい、皆、確かな一歩を踏み出せたようです。

 

休憩後、「日本における無国籍少数民族ロヒンギャの実態」について、池辺利奈から、群馬県館林でのインタビュー調査に基づく報告を聞きました。池辺は、2015年から無国籍ネットワークの運営委員として会員管理を担当しています。池辺の報告は、無国籍であることや、ロヒンギャであること、日本での暮らし等についての当事者の見解に焦点を当てたものです。極限られた人数を対象にした予備調査の結果なので、一般化はできませんが、ミャンマーを出る前には、ロヒンギャであることを隠し、恥ずかしく思っていた人が、国境を渡り、自分たちの状況への理解を深め、ロヒンギャであることに誇りを持つようになったという変化や、子どもたちへのロヒンギャの文化継承への努力と日本社会適応への積極的な姿勢、また、彼らが抱える問題等が説明されました。調査手法や、子どもの服装や食べ物等についての質問が続きました。仮放免についての質問には、参加者の方が、ご自身の支援経験をシェアしてくださいました。

 

出席者へのアンケートでは、「日本でも理解を深めていくことが大事だ」等の感想が寄せられました。無国籍ネットワークは、国際社会や国家の定めた枠組みの中での法的支援と共に、アイデンティティや帰化等に悩む人の心に寄り添い、法律だけでは解決できない当事者の気持ちも大切にしています。無国籍について様々な視点から学ぶトークイベントを今後も実施していきます。

 

三谷純子(無国籍ネットワーク理事)東京、2016年7月6日

グレッグ・コンスタンティン氏講演:立教大学社会学部 2016年5月30日

rikkyo1 「小さな両手に握られた、1冊のノート。この写真は、今日わたしが皆さんにお見せする全ての写真の中で、もっとも重要な1枚です」――その不思議な言葉に、誰もが首を傾げました。砂漠地帯を歩く、見るからに極貧に打ちひしがれた女性の写真。暗い部屋のなか、僅かに差し込む日光に照らし出される虚ろな眼差し…。これまで映し出された写真は、そのどれもが生きる希望を奪われ、「生きながらにして亡霊と同じ存在」である無国籍者の生き様を、これでもかと訴えかけていたからです。

一息ついて、先生は説明を始めました。「この小さな両手の持ち主である少年は、家の奥から粗末なノートを持ちだしてきて、最後の1ページをめくって、私に見せたのです。一生懸命に。そこには--そう、この写真に写されているページです。その少年の父親が亡くなる直前、最後の気力を振り絞って書いた、全ての彼の子どもたちの名前と生年月日が書いてありました。父親が書き残したこの手書きの名前と生年月日のリストだけが、この少年とその兄弟が持っている、唯一の生まれてきた証なのです。これ以外には何ひとつ、この世の中に身分証明を持たない子どもたちに、父親が残した唯一の宝物が、このノートなのでした。」

Constantine先生の講演は、ただ画像があるからというだけでなく、ひとつの画像が現れるたびに、まずその背景にある個人的な無国籍者としての経験が語られました。そして次に、なぜそうした経験をしなければならない人が生まれたのかという、地域的・歴史的な文脈が説明されました。そして最後に、なぜConstantine先生がその写真を撮ったのか、その意図が述べられるのです。最初から最後まで、プロジェクターに写真が1枚現れるごとに、教室全体の沈黙が深くなっていく講演でした。

ご講演の最後には、とても時間が足りないほど多くの質問が出ました。聴き手の我々にとって、いちばん印象的だったのは、「どうして先生の写真は、いつも白黒写真なのですか」という学生からの質問に対する先生の答えだったかもしれません。「今の時代、カラーの写真は便利にいくらでも取ることができるけれど。人々の印象に残るのは、昔ながらの、シンプルな白黒写真だと思うから」。もしかすると先生自身の生き様が、その言葉に重なるのかもしれません。インターネットで情報を何でも得られる便利な時代と人々が言う今このときに、世界の各地に足を運び、人々と会話して、自分の目と耳と心で理解しようと努力している、その姿に。

rikkyo2 そして最後に。Statelesss Network YouthのTimさん、Maryさんのお2人の通訳がなければ、この講演会は成功しませんでした。お2人とも--とくに昼食も抜きで大活躍してくれたTimさん、どうもありがとうございました。

石井 香世子 立教大学社会学部准教授

【追加情報】2016年7月3日 すてねとゼミ in 東京

◆◆ 元UNHCR保護官による「タジキスタンにおける無国籍問題」の報告 ◆◆

タジキスタンでのUNHCR勤務を終え、帰国したばかりの小川雅代さんが、既にご案内した7月3日の無国籍ネットワークのゼミで、「タジキスタンにおける無国籍問題」について報告してくださることが急遽決定しました。

知る機会の少ない中央アジアの現場の話を聞く貴重な機会です。ぜひ、ご参加ください。

*********************************************

【報告内容】
「中央アジア・タジキスタンにおける無国籍問題」
世界には無国籍者が1,000万人以上いると報告されていますが、中央アジアも例外ではありません。現在中央アジアには、無国籍者が10万人いるとされています。日本ではあまり馴染みのない地域、中央アジアの最貧国、タジキスタンで無国籍者はどのような立場に置かれているのか、現地政府、国連機関、NGO団体が共同して、問題解決にどのように取り組んでいるか、まとめてみたいと思います。

【報告者】
小川 雅代氏
元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) タジキスタン事務所 保護官(無国籍担当)
国際機関にて、アフリカ・アジア諸国で、難民保護・無国籍問題に従事。立教大学法学部国際・比較法学科卒業。米ジョージタウン大学国際関係大学院修了。現在、英オックスフォード大学国際人権法修士課程に在籍中。

【日 時】2016年7月3日(日)15:00〜16:00 (秋山氏に続き発表)

【会 場】早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館5階504号室

【会 費】無料 (懇親会参加の方は、別途。)

*********************************************

※ゼミ参加・懇親会参加について、

officer[at]stateless-network.com までメールにてお知らせください。 

2016年7月3日 すてねとゼミin東京のご案内

近年、無国籍についての社会的な認知が高まりを見せるとともに、無国籍研究も進んでいます。国際法は無国籍についての国際的な取り組みを理解するために重要な視点ですが、現実への影響を検討する際には、国際法が国内においていかに適用されうるのかを検討する必要があります。今回は無国籍に関連する国際法と日本の関連性について、秋山肇氏にご報告いただきます。
日時:2016年7月3日(日) 14:00-15:00
場所:早稲田大学キャンパス 新宿区西早稲田1-6-1(地図)、11号館の5階504号室(キャンパスマップ

報告タイトル:

日本における国会審議に見る無国籍:自由権規約をめぐる議論を通して

報告要旨:
本報告は、日本の国会審議において無国籍がいかに議論されてきたかを、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)をめぐる議論を通して検証する。1979年に日本が批准した自由権規約は、第24条第3項において子どもの国籍への権利を規定している。無国籍の予防も子どもの国籍への権利の一つに含まれると考えられるが、自由権規約が日本の国会において審議された際、無国籍はどのように議論されたのだろうか。国会審議を検討することで、日本の政府が、自由権規約と国籍の付与及び無国籍の予防の関連性をいかに理解していたかを検討することが本報告の目的である。
報告者:
秋山 肇(あきやま はじめ)
日本学術振興会特別研究員。国際基督教大学大学院博士後期課程。2016年3月に国際基督教大学大学院博士前期課程を優等で修了し、修士(平和研究)。第29回佐藤栄作賞優秀賞受賞。主に国際法の視点から無国籍について研究している。訳 書にStatelessness Conventions and Japanese Laws: Convergence and Divergence (2016, Office of the United Nations High Commissioner for Refugees) がある。無国籍ネットワーク運営委員。

2016年6月29日 すてねとゼミin東京のご案内

children02近年、無国籍についての社会的な認知が高まりを見せるとともに、無国籍研究も進んでいます。そのために専門的な議論が深まりを見せていますが、その理解には基本的な事柄の理解が不可欠です。今回は国際法とロヒンギャをテーマに、日本における無国籍の基本について秋山肇氏、池辺利奈氏にご報告いただきます。

日時:2016年6月29日(水) 18:30-20:30

場所:早稲田大学キャンパス 新宿区西早稲田1-6-1

11号館の5階504号室 (キャンパスのアクセス図はこちら

人数確認のため参加される方はこちらから連絡いただくようよろしくお願いします。

 

報告1タイトル:  無国籍と国際法

報告要旨: 本報告では、国際法が無国籍についてどのように取り組んでいるかをご紹介します。国際法は国内法のような強制力を有するものではありませんが、国際社会のルールであり、国際社会での平和を求めるための一つの試みです。そんな国際法の中に無国籍者や無国籍について規定するものがあります。本報告では国際法の基本から、国際法が無国籍に関連して何を規定しているのかについて概説をお話しします。

 

報告者1: 秋山 肇(あきやま はじめ)

日本学術振興会特別研究員。国際基督教大学大学院博士後期課程。2016年3月に国際基督教大学大学院博士前期課程を優等で修了し、修士(平和研究)。第29回佐藤栄作賞優秀賞受賞。主に国際法の視点から無国籍について研究している。訳 書にStatelessness Conventions and Japanese Laws: Convergence and Divergence (2016, Office of the United Nations High Commissioner for Refugees) がある(原文の日本語はこちら)。無国籍ネットワーク運営委員。

 

報告2タイトル:日本における無国籍少数民族ロヒンギャの実態

本報告では、群馬県館林市に集住するイスラム系ミャンマー少数民族ロヒンギャの実態および今後の研究課題について、心理学的側面からご報告します。具体的に、彼らの難民認定や国籍の状況、来日までの経緯、現在抱える問題、彼らの文化と日本社会との葛藤、アイデンティティなどについて、在日ビルマ・ロヒンギャ人協会でのインタビューをもとにお話しします。

 

報告者2:池辺利奈(いけべ りな)

国際基督教大学大学院修士課程在学中。
大学院では心理学的側面から在住外国人について研究中。
無国籍ネットワーク運営委員。

 

第12回すてねとカフェin大阪 (3月15日)

第12回すてねとカフェin大阪が3月15日(火)に開催され、10名の方が参加しました。無国籍者のシャンカイさん、丁章さん、そして国際法学者で国際基督教大学教授の新垣修先生の話があり、その後の議論なども盛り上がり、みんなで有意義な時間を過ごすことができました。以下、当日の様子をまとめましたので、是非ご覧ください。

新垣先生からシャンカイさんへのインタビューを中心に、シャンカイさんが生い立ちを語り、次のように話しました。

シャンカイさんと新垣先生のインタビュー
シャンカイさんと新垣先生のインタビュー

「祖国はミャンマー(ビルマ)だと自分が思うのは、親の教育(意識)の影響が大きい。行ったことのないミャンマーの国籍を今は取得するつもりはない。

無国籍者であることで講演依頼があり、多くの人が自分の話を聞いてくれることはありがたい。無国籍者であることにも意味があると思えるようになった。

将来ララさんのように本を書きたい。

就職先の会社は海外での仕事はなく、無国籍者であることは就職条件において問題にならなかった。帰化(日本国籍取得)は今のところ考えていない(日本国籍を日本国からくれるというならもらってもいい)。

再入国許可書で韓国に入国する際に、2時間ほど入管で調べられて海外旅行がトラウマになった。旅が趣味なので、学生のあいだに海外旅行をもっとしたかった。」

丁章さんは、新垣先生の「UNHCR報告書・無国籍条約と日本の国内法」などのテキストを基に、「朝鮮」籍者という「事実上の無国籍者」としての信条を話しました。

「無国籍者を無くすというUNHCRの方針への疑問、無国籍者に対して当事者の信条に反する国籍(国民性)を国家が強引に『かぶせてくる』こと(人権侵害)への恐怖心など、国籍問題は便第12回すてねとカフェ大阪① - Copy宜上の国籍取得で片付く問題ではない。国家の絶対性が揺らぐ昨今の世界情勢において、はたして国家や国境の壁を強化する方向へ立ち戻るべきなのか、これから考えてゆかねばならない課題であろう。」

新垣先生は、「この数年で無国籍問題は大きく動いている、法学者としての新しい研究の必要性を感じる。」と話されました。

「新垣修さんを囲んで、無国籍者たちと共に語り合おう!」 第12回 すてねとカフェin大阪  日時:3月15日(火) 午後2:00 ~5:00 ( 1:30受付開始) 

昨年、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の無国籍に関する報告書を執筆された国際法学者で国際基督教大学教授の新垣修さんがこのたびご自身の研究を兼ねて「すてねとカフェ大阪」にお越しくださいます。「無国籍者の方(あるいは過去にそうであった方)、あるいは無国籍について詳しいNGO関係者にお会いし、無国籍の方の個人史やNGOの無国籍への関わりについて、ざっくばらんにお話をうかがえればと願っています」という新垣先生を囲んで、無国籍問題についてみなさんと共に語り合いたいとおもいます。また、この春、関西学院大を卒業して関東に就職されるシャンカイさんも参加されますので、関西でお話を聞ける貴重な機会になるかとおもいます。無国籍関係者の方はもちろん、無国籍に関心のある方ならどなたでも、気軽にご参加ください!
発言者テュアン・シャンカイ(関西学院大4年)/梶村美紀(無国籍ネットワーク運営委員・大阪経済法科大学国際学部助教)/丁章(無国籍ネットワーク運営委員・詩人)その他

 

日時:3月15日(火) 午後2:00 ~5:00 (  1:30受付開始)

参加費:1000円(1ドリンク付)要予約

     本会のあと、ひきつづき懇親会があります(実費3500円程度)

会場:喫茶美術館  東大阪市宝持1-2-18  06-6725-0430 http://www.waneibunkasha.com

   〈近鉄奈良線・河内小阪駅下車徒歩13分。タクシー利用(1メーター)が便利です。)

 

無国籍について疑問に思うことや質問したいこと、誰かに聞いてもらいたいことなど、無国籍ネットワークの交流会「すてねとカフェ」に集まって、皆で思う存分語り合いませんか? 無国籍の方も有国籍の方も、ぜひお集まりください!

 

※ ご参加くださる方は、3月13日(日)までに下記までご連絡いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

waneibunkasha@yahoo.co.jp

無国籍ネットワーク すてねとカフェin大阪 運営委員 丁章

———————————-

参加をご希望の方は以下の( )に◯を記入して、ご返信ください。

 

本会と懇親会の両方参加(   )

本会のみ参加(   )

懇親会のみ参加(   )

Translate »