6/12日曜日 横浜中華街 ‘華都飯店’ イベント報告 「音楽は国籍を超えて~Unplugged, Undefined, Undocumented~」

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 イベント事後報告と無国籍ネットワーク・ユースメンバーの感想

当団体の創設者である陳天璽教授、1985年の国籍法改正がきっかけで無国籍となったBamboo Drummer ロバートさん、Vocals and guitar 源次郎さんを迎え、トーク&ミュージックライブのイベントを開催しました。来場者の皆様と共に国籍の法整備や実例、どうしたら日本がもっと生きやすい社会になるのかを考えさせていただきました。国籍は自分が何人であるかという所属を表すと同時に、自分は何人だここの国民だとアイデンティティを持っている、と名乗ることは自由なのではないかという声がありました。無国籍という事実に日本は比較的不寛容であり、周りの柔軟な理解や差別・偏見を無くすことは非常に重要です。これからもユースは無国籍について学び、発信し続けることを軸に活動していきたいと考えています!

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参加したメンバーの感想:

恥ずかしながら、私は無国籍ネットワークユースに入会するまで無国籍について何も知りませんでした。今回のイベントに参加させていただいて学んだことは、まずは知ろうとすることが大切だということです。教授とロバートさんの対談の中でもお話しされていましたが、現在の日本の教育では、無国籍についてはおろか、国籍についても学ぶ機会がなかなかありません。私自身ユースに参加しなければ、無国籍について何も知らずに生活していたと思います。今回イベントに参加させていただいたことで、様々なバックグラウンドを持つ方のお話を聞かせていただくことができました。そして、国籍とは何か、アイデンティティとは何か、日本の社会的制度、とりわけ国籍法111項について、自分の中に問題意識が生まれるのを感じました。これからはこの問題意識を自分だけのものにするのではなく、ユースでの活動を通して、世代を超えて、皆で考える問題にしていきたいと思います。素敵なイベントに参加させていただき、ありがとうございました。(早稲田大学 法学部1) 

今回のイベントで、改めて「国籍」という概念が、グローバル化の進んだ現代に生きる私たちに与える影響の大きさを感じました。これまで私たちが向き合ってきた「無国籍」に関する問題や、日本が多重国籍を認めないことに起因する国籍喪失の問題など、「国籍」は1つの切り口からでは語れない、複雑な課題を包含しているという印象を受けました。そして、ロバートさんはじめ「国籍」によって大きな課題に直面した方のエピソードには、衝撃、そして疑問を感じました。一国の決める国籍制度によって、いまや国際人である個人が不利益を受けるのはあってはならないことだと思います。制度の欠陥に対して声を上げていくことは勿論、このような問題が身近に起きていることを社会に発信していくことが、ユースの使命だと感じました。そして、ロバートさん、ゲンジロウさんの奏でる音楽が、「国籍」を超えて私たちのつながりを深めてくれるようで、とても幸せな時間でした。このようなイベントを今後もぜひ開催し続けていけたらと思います。(早稲田大学法学部2年・朝倉)


The event was truly inspiring, riveting and meaningful. Music of Mr. Robert and Genjiro were really energetic and brought out everyone’s joy and emotions. In addition, professors and guests are very open to share their own experience and struggles about statelessness. I was inspired by the fact that the countries in the European Union started accepting dual nationality as a way to prevent statelessness and as a human right. And any moves on the nationality law would cause significant impact to many individuals. This is something I never thought of as I grew up in Hong Kong, where dual nationality was factually allowed. Something we take for granted might not be the case for everyone around the world. It was a wonderful opportunity to raise awareness about the issue in Japan and I am so glad to be helpful in the event. (早稲田大学大学院アジア太平洋研究科1年・Tony)

 

ミュージックイベントでは、たくさんの方の経験を聞くことができました。そんな中でしみじみと思ったのは、国籍がないことで生活に多大な支障が出ることによってその人の本来持つべき権利が損なわれるばかりではなく、人格そのものが損なわれるのである。本来、日本と外国とを分けているのは、物理的な国境線よりは、国民の対国家への帰属感であり、価値体系の相違なのであろう。しかし、イベントで、国が勝手にあるいはミスによって国籍が剥奪されたり、もう日本国民ではないと一方的に宣言を受けたりする方の話を聞くと今後はそのような経験をされる方のないように、ユースとして今後もっと世間に無国籍についてのことを広めなくてはいけないと思いました。今回のイベントでは自分にとって本当に大切な経験であったし、たくさん貴重な話を聞かせていただきましたので、とても感謝してます!(早稲田大学法学部2年 棚村香)

 

 

新畑克也 写真展『Dignity-尊きミャンマーの人々- in Rakhine State』ギャラリートーク【限定公開:9月30日まで】

新畑克也 写真展『Dignity-尊きミャンマーの人々- in Rakhine State』ギャラリートーク【限定公開:9月30日まで】

写真展の様子と新畑さんによるギャラリートークを9月末まで期間限定で公開していますので、是非ご覧ください。

8月12日から15日まで行われた新畑克也さんの写真展 『Dignity-尊きミャンマーの人々- in Rakhine State』はミャンマー国内のロヒンギャだけでなく、同じラカイン州で暮らすラカン族をはじめとする様々な民族や宗教の人の暮らしを物語る写真を展示しました。そこに暮らす一般の人たちの暮らしと、交流の様子、日常を描く写真展でした。沢山の暴力と虐殺が行われてきたラカイン州という地域が、実は様々な民族や宗教を持つ人たちが、ともに生きてきたという長い歴史をもつ地域でもあることを思い出させてくれる写真展でした。

アーカイブ配信:4/11 「コロナ禍における無国籍者の実態」オンラインセミナー

2021年4月11日に開催されたオンラインセミナー「コロナ禍における無国籍者の実態」のアーカイブ配信映像です。

 

セミナーでは、無国籍者の方々をお招きし、「無国籍者ゆえのコロナ禍での苦悩」や「コロナ禍で思うこと」についてお話を伺い、陳天璽教授(早稲田大学国際教養学部)には専門的観点から解説を行っていただきました。

当事者の声を通して、無国籍者がコロナ禍に何を思うのか、どう暮らしてきたのか考えるきっかけとなれば幸いです。

 

アーカイブ配信:「帰る国なき難民のこころ」野田文隆(1948年ー2019年) 無国籍ネットワーク 講演会 2016年11月19日

帰る国のない人々(難民、無国籍者)が日本にも増えている。かれらは日本で受け入れられていない状況の中で生きていることが多い。そのため、貧困、孤独、家族との別れ、望郷の思い、亡命中のこころの傷(トラウマ)に身を裂かれている。そういう人々がメンタルヘルスの危機を抱えることは極めて多い。特に、うつ病、外的心傷後ストレス障害が特有の病気である。この疾患の特徴を説明し、これらの病気の留意事項、また、そういう人をみたらどう対処するのが良いのか解説する。また、帰る国なき難民へのこころ支援とはなにをすればよいのかについて考えるための資料として参考になればと思います。

帰る国なき難民のこころ プレゼンテーション  PDFファイル

野田文隆先生(1948年ー2019年)東京大学文学部卒業。広告コピーライターを経た後、千葉大学医学部に進み、精神科医となる。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学で卒後研修を受けた後、東京武蔵野病院精神科に勤務。1999年より2014年まで大正大学人間学部教授。ブリティッシュ・コロンビア大学精神科Adjunct Professorを兼任した。2016年の講演当時は、めじろそらクリニック院長として、多文化外来を実践し、数多くの外国人、移住者難民の診察にあたっていた。元多文化間精神医学会理事長、元世界精神医学会多文化間精神医学セクション副会長。主な著作「間違いだらけのメンタルヘルス」(大正大学まんだらライブラリー)「マイノリティの精神医学」(大正大学出版会)他

メンタルヘルスの分野で難民をサポートしてくだった野田文隆先生は、2019年1月3日の夕方にご逝去されました。

 

 

 

 

 

 

【2019年東大写真展報告書】

2019年東大写真展報告書】報告者;篠崎玲菜、編集:スティーブ・マキンタヤ、三谷純子   東大写真展報告書のPDF版はこちら

集合写真
最終日のトークセッション後に登壇者や写真家、HSFの原若葉先生をはじめとする関係者と同席した皆様と。
ポスター
写真展ポスター

1.はじめに

無国籍ネットワークは、在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)、人間の安全保障学会(JAHSS)学生部会、特定非営利活動法人「人間の安全保障」フォーラム(HSF)と共に、東京大学大学院「持続的平和研究センター(RCSP)」の後援を受け、2019年11月16日(土)と17日(日)に、国際開発学会&人間の安全保障学会2019共催大会(東京大学駒場キャンパス)で、写真展『われわれは無国籍にされたー国境のロヒンギャ“We are made Stateless”: Rohingya on the Border”』を開催しました。(諸団体についての詳しい説明は、報告書の最後を参照してください。) 両学会への参加者全員が頻繁に通る広い通路に展示したことにより、二日間で合計1,200名近くもの方々に、最近報道が減っているロヒンギャの写真38枚を改めてご覧いただくことができました。

 

2.東大での写真展の目的

今回の写真展の目的は、来場者に、バングラデシュの難民キャンプやビルマ(ミャンマー)の国内避難民キャンプで、悲惨な状況に置かれたロヒンギャの状況を伝えること、そして当該問題に関心がある様々な人々の間に交流の機会を創出することでした。

そのため、写真の展示に加え、写真展2日目には、在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)のメンバーや、写真を撮った狩新那生助氏・新畑克也氏を招いたトークセッションを3回開催しました。さらに、パンフレットの配布やパネルの設置を通して、共催・後援団体の活動も紹介しました。

 

3.写真展開催の経緯

BRAJ代表の当時会長のヤシンさんをはじめとするBRAJの皆様と、無国籍ネットワーク 運営の篠崎、マキンタヤとの記念の一枚。
当時BRAJ代表のヤシンさんをはじめとするBRAJの皆様と、無国籍ネットワーク運営の篠崎、マキンタヤとの記念の一枚。

この写真展自体は、3回目の開催でした。初回は、2018年12月に早稲田大学で、無国籍ネットワーク・ユースが、無国籍ネットワークの後援を受け、主に早稲田の学生に無国籍やロヒンギャについて知ってもらうことを目的に開催しました。2回目は、翌2019年6月に、群馬県館林市で、BRAJの協力を得て、無国籍ネットワークと無国籍ネットワーク・ユースが共催しました。館林市には、多くのロヒンギャが暮らしています。彼らの背景を、同じ地域で暮らす様々な人々にも、写真を通して感じていただくことができました。

 

この館林での写真展を、同地でロヒンギャの子どもたちを対象とした学習支援をしているHSF監事の原若葉先生がご覧になり、東大で開催する国際開発学会と人間の安全保障学会の合同学会でのサイドイベントとしての実施を、ご提案してくださったのです。東京大学大学院「人間の安全保障」プログラム(HSP)の教授でもあり、国際開発学会・人間の安全保障学会2019共催大会の事務局長の関谷雄一先生、そして同実行委員長である佐藤安信先生の御賛同を頂き、人間の安全保障学会(JAHSS)学生部会所属かつ、人間の安全保障フォーラム(HSF)理事兼事務局次長である山﨑真帆が、無国籍ネットワークやBRAJ等の意見を取りまとめ、プロポーザルを作成し、写真展の開催が両学会関係各位により、承認されました。

 

4.写真展の準備

準備チーム
準備チーム

館林に本部を構えるBRAJに保存していた写真のパネルは、原若葉先生が自ら運転し東大へ搬送してくださいました。また、東大からの必要経費の支給やポスター台座等の借用の調整にもご尽力いただきました。ポスターやリーフレットの準備、印刷、立て看板の制作、展示に必要な物の調達、ホーム・ページや、ソーシャル・メディアでの広報、リーフレットの準備、人員配置、関係諸団体との様々な調整等は、主に、無国籍ネットワークの運営委員のマキンタヤと篠崎が担当し、理事の三谷純子もサポートし、会計等に関しては、運営委員の麻生留美子、大島理恵、陳天璽代表も協力しました。設営・撤収では、重松尚先生やHSP事務室の松井たまき様にもお世話になりました。人間の安全保障学会学生部会の方々や学会の手伝いをしていたHSP所属学生をはじめとする学生の方々が、椅子や机の搬入等を助けてくださり、写真家お二人の意向に沿い、マキンタヤ、篠崎、三谷、無国籍ネットワーク・ユース(代表:高橋礼、中野響子、倉田怜於、小川いぶき、松田梨沙、栗本紗綾香)が手伝いました。

 

5.写真展の二日間

写真展の受付にて、在廊された狩新那生助氏・新畑克也氏。
写真展の受付にて、在廊された狩新那生助氏・新畑克也氏。

会場では、新畑氏が2017年と2018年、狩新那氏が2014年と2017年に、ミヤンマーやバングラデシュ、日本でも撮影した、合計約38枚の写真を展示しました。お二人は、終日在廊し、随時、来場になった方々に、直接写真の説明をしてくださり、ロヒンギャの人々が直面している実情を、より詳しく知る機会になりました。

 

HSFの学習支援活動等の説明や写真のパネルは、日本で育っているロヒンギャの子ども達についても知っていただく機会になりました。また、会場では、無国籍ネットワークの篠崎とマキンタヤが常駐し、HSF理事長の高須幸雄先生や前理事長の山下晋司先生、当時BRAJ代表のヤシン氏もいらしてくださいました。関係諸団体の資料等の配布や紹介や、ロヒンギャのための募金の管理もしました。

 

BRAJ所属でロヒンギャ系日本人の長谷川健一さんによるトークの様子。
BRAJ所属でロヒンギャ系日本人の長谷川健一さんによるトークの様子。

写真展二日目には、当事者の生の声を届ける場を作るために、トークセッションを3回実施し、各回約30-40分程度、20-30人の方が参加しました。トークをして頂いた、ロヒンギャ系日本人の長谷川健一さんと無国籍ネットワークの運営委員でもある長谷川留理華さんに心から感謝の拍手を送りたいと思います。お二人の胸を打つロヒンギャ同朋への想いと言葉なしには、この写真展は考えられませんでした。セッションに来場された方々は、一心にお話を聞いていました。特に印象的だったのは、ロヒンギャの子どもたちが取り残されてしまっていることへの懸念に関してでした。具体的には、教育の機会が避難先のキャンプや村にないために、その間、仕事も勉強もできずに未来が見いだせない状態であることを訴えていました。日本に住んでいる私たちができることは、無関心でいないこと、まずは問題を知るところから一つずつ積み重ね様々な立場の人々が協力することで、確実な問題の解決につなげることだと痛感しました。

無国籍ネットワーク運営委員でもある、ロヒンギャ系日本人の長谷川留理香さん によるトークの様子。
無国籍ネットワーク運営委員でもある、ロヒンギャ系日本人の長谷川留理香さんによるトークの様子。

 

さらに、トークセッションでは、写真家の狩新那氏と新畑氏にも、ロヒンギャの方々の写真を撮影しに行った経緯や、現場で接したロヒンギャの人々の等身大の暮らしを説明していただきました。参加者の感想の中で、非常に印象に残っているのは、「写真で見るのとニュースで聞くのと全然違って、臨場感があり、ロヒンギャの人々のまなざしに吸い込まれる」という声でした。改めて写真の持つ「伝える力」に驚かされました。

 

写真展をご覧になった方々から、別の場所での開催のお誘いを複数頂いています。この写真展が巡回展として、今後も様々な場所で続き、一刻も早い無国籍問題の広い認知とロヒンギャ問題の解決の一助となるよう、今回の実施で学んだ事も含め、写真展開催のマニュアルを作成し、よりスムースな開催を目指していきたいと思います。

 

写真家の新畑氏によるトークの様子。
写真家の新畑氏によるトークの様子。

無国籍ネットワークとしては、BRAJの方々といった当事者の方々に喜んでいただけたことが、とても嬉しく、励みになりました。今回は、アカデミックな場で、研究者や学生も含め、様々な年齢層・多様な所属の方々にロヒンギャ、そして無国籍者の問題について、写真を通して感じ、関心を深めていただけたという点で、大変意義深いものだったと考えています。

 

 

6.会計報告

この写真展をご覧になった方々から、合計4万2,901円をロヒンギャ方々のための募金として頂きました。この募金はBRAJに全額お渡しました。BRAJがバングラデシュの難民キャンプで支援している学校での活動に使われるそうです。無国籍ネットワークは、開催に必要な資金をHSFから11万5千円頂きました(なお、HSFへの協賛団体につき、後述8(1)参照)。購入物には、今後の活動に使える物も含まれています。大変感謝しており、今後の活動に役立てていく所存です。

 

7.謝辞

改めまして、この写真展を国際開発学会&人間の安全保障学会2019共催大会(東京大学駒場キャンパス)で実現するにあたってご協力いただいた、共催団体の特定非営利活動法人「人間の安全保障」フォーラム(HSF)の理事長の高須幸雄先生と原若葉先生、人間の安全保障学会(JAHSS)学生部会所属であり、HSF理事兼事務局次長でもある山﨑真帆さんとメンバーの皆様、在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)と登壇してくださった長谷川健一様、写真家の狩新那氏・新畑氏、そして東京大学人間の安全保障プログラムの重松尚先生、松井たまき様、東京大学人間の安全保障学会学生部会、無国籍ネットワーク・ユース、後援の東京大学持続的平和研究センター(RCSP)、東京大学大学院「人間の安全保障」プログラムの運営教授でもあり、国際開発学会・人間の安全保障学会2019共催大会の事務局長の関谷雄一先生と実行委員長である佐藤安信先生に感謝申し上げます。

 

8.関係諸団体の御紹介

(1)共催団体;特定非営利活動法人「人間の安全保障フォーラム(HSF)」について

HSFでは、当時館林市に暮らしていたロヒンギャ女性の協力を得、2017年7月に、ロヒンギャの子どもたちを対象とした学習支援プロジェクトを立ちあげました。現在も館林市内の公民館において、隔週で学習支援活動を展開しており、各回数名から十数名の子ども(未就学児から中学生まで)の参加があります。彼らの多くは日本で生まれた日本語話者であり、日本の学校に通学し、日本語を用いて勉強しています。写真展では、こうしたHSFの活動や市内の子どもたちの様子等についてもパネルやパンフレットを通じて紹介しました。以下は、写真展のパンフレットに掲載したHSFの紹介になります。なお、今回の写真展の開催は、立正佼成会一食平和基金の助成により実施中の難民支援事業の一環として行いました。

 

設立目的

日本、アジア、アフリカその他の地域の持続的平和と持続的開発を追求し、移民や難民、災害などによる被災者をはじめしばしば脆弱な立場におかれる人々の基本的人権が尊重される社会を実現することを目指し、関連組織、企業、官公署、自治体、団体、ならびに個人と恊働・協力し、人間の安全保障推進事業を行う。

活動内容

・「日本の人間の安全保障」指標を作成する。

・日本国内に暮らす難民の子どもたちの学習支援活動を行う。

・東日本大震災に際しボランティア派遣コーディネータ事業を展開する。

・宮城県内の仮設住宅地において「こども未来館」を設置、運営する。

・研究、教育、文化に関するイベントを企画・運営する。

・その他、「人間の安全保障」を推進するための新規事業を企画立案・実施する。

 

人間の安全保障のための学習支援プロジェクト・館林市

群馬県館林市に暮らし、市内の学校に通うロヒンギャの子どもたち(未就学児から中学生)を対象として、2017年7月より学習支援活動を展開している。具体的には、市内の六郷公民館において、午前10時から12時まで隔週(第2、第4)土曜日に勉強会を開催しており、各回5名から15名程度の子供たちが参加している。なお、本プロジェクトは、東日本大震災の被災地域における学習支援活動(2011-2015)で培った経験・知見を活かし、現代の日本社会において脆弱な立場に置かれた人々を対象とした支援活動を行うことを目的としている。

 

(2)共催団体;在日ビルマ・ロヒンギャ協会BRAJについて

1980年代以降、日本に逃れてきたロヒンギャも徐々に増加しており、現在、250人から300人程度が国内に居住していると推定されます。そのほとんどが群馬県館林市に集住しています。多くが難民認定や在留特別許可を得た人やその家族ですが、就労資格がなく不安定な仮放免の状態である人もいます。在日ビルマ・ロヒンギャ協会(通称BRAJ)は日本とビルマ(ミャンマー)はビジネスなどにおいて重要なパートナーであることを踏まえ、日本政府、日本のメディア、日本人の学生、そして一般の日本人の方に対して、ミャンマーに一日も早く平和が訪れるようにビルマの政府に働きかけるよう呼びかけています。具体的には、ビルマ政府は国内のマイノリティーの権利を尊重し、ロヒンギャの国籍とアイデンティティを認めなければならないことを主張しています。以下は、写真展のパンフレットに掲載したBRAJの紹介になります。

はじめに

アウンサンスーチー氏(現在国家顧問)が1989年に軍事政権によって逮捕され、以降自宅軟禁されていたことに対し、われわれBRAJのメンバーはビルマ大使館の前で何度も彼女の釈放を呼びかける抗議行動を行いました。われわれBRAJは、ロヒンギャのための国際正義を達成し、今日の危機を解決するには以下のことを実現しなければならないと考えています。

  • すべてのロヒンギャに国籍と共にそのアイデンティティを取り戻すこと。
  • 帰国する全ての難民がその元の居住地に戻ること。
  • 事実調査ミッション、NGO団体、国際メディア、そして国連平和維持軍がアラカン州に入ること。
  • マイノリティーへの残虐行為やジェノサイドにかかわった者達をその犯罪について国際司法裁判所にかけること。

在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)の設立と活動について

1994年に日本に住む7人のロヒンギャによって在日ビルマ・ロヒンギャ協会が設立されました。今ではわれわれの団体には男性、女性、子どもを含めて300人近くのメンバーがいます。BRAJは日本に住むロヒンギャが日本の法律とルールを守ることを勧めてきました。また、ビルマで迫害を受けたために国を逃れて、日本で難民申請しているロヒンギャの支援も行ってきました。

ビルマ国内やバングラデッシュで苦しんでいるロヒンギャに対する支援

現在、BRAJはビルマ国内やバングラデシュで様々な困難に直面している人たちを支援しています。今年の初旬、BRAJはバングラデシュにある難民キャンプにロヒンギャの子どもたちのために学校を設立しました。学校には8人の先生と300人の生徒がいます。われわれの学校では、子どもたちは平和のために働くことを目指し、復讐しないようにと学んでいます。日本の皆様に対して、われわれと共にビルマに平和がくるように、一緒にロヒンギャや他のマイノリティーが直面している状況の改善に向けて協力していきましょう。

 

(3)後援団体;持続的平和研究センターについて

持続的平和研究センター(RCSP)は,東京大学大学院総合文化研究科のグローバル地域研究機構(Institute for Advanced Global Studies, IAGS)のもとで2010年4月に発足した持続的平和研究センター,持続的開発研究センター,アフリカ地域研究センターという3つの研究センターの一つです。どれもが、「人間の安全保障」に密接に関連したテーマを扱い、教育プログラムとしての「人間の安全保障」プログラムを研究拠点としています。中でも,持続的平和研究センターは,平和概念の再定義を含む,理論的研究,歴史的研究,世界各地の紛争現場におけるフィールド調査,アクションリサーチ,平和政策の批判的検討などの研究活動を行っています。実践的な研究や情報発信に努めており、代表的なプロジェクトは2010年から実施した「難民移民ドキュメンテーション・プロジェクト(The Project of Compilation and Documentation on Refugees and Migrants, CDR)です。

 

(4) 国際開発学会&人間の安全保障学会2019共催大会について

国際開発学会&人間の安全保障学会2019共催大会では、難民の問題も主要なテーマとして扱われ、国境地域にある難民キャンプに暮らすロヒンギャ難民の姿を映し出した作品を展示することも学会の趣旨に良く合致していました。

執筆・写真撮影:無国籍ネットワーク、篠崎玲菜、編集:スティーブ・マキンタヤ、三谷純子

 

 

 

 

無国籍ネットワークユース写真展2019年報告書

写真展2019年報告書

写真展2019 報告書PDF版ダウンロード

写真展責任者:早稲田大学政治経済学部政治学科2年 倉田怜於

1.はじめに

(文責:倉田)

昨年末、私たち無国籍ネットワークユース(以下SNY)は、NPO法人無国籍ネットワークとの共催で写真展「Us」及び講演会を開催しました。写真展の開催期間は2019年12月10日〜17日の計7日間(15日は休館)、場所は早稲田大学ワセダギャラリー(27号館地下1階)にて、講演会は14日14:00〜16:00に早稲田大学3号館502教室にて実施しました。

写真展は2016年、2018年にも実施しており、SNYの一年の活動の中でも重要な活動の一つとなっております。今年も2019 年9月末ごろから準備を始め、展示する写真の決定や開催施設を確保、学内外での広報など開催に向けての計画を進めてまいりました。さらに、これまでにない初めての試みとして講演会を実施し、これまでご縁のあった数多くの方々の中から特に講演していただきたい方をこちらでお選びし、協議の末2名の方に登壇していただく運びとなりました。

そしてその準備が功を奏してか、写真展・講演会ともに本当にたくさんの方にご来場いただき、盛況の中、最終日を迎えることができました。具体的な数字は次章以降に掲載しますが、写真展への来場者数は7日間で合計200名を超え、講演会にも70名以上の参加者がいらっしゃいました。

「無国籍者」の認知度向上を第一目標として掲げている弊団体にとって、多くの方々に足をお運びいただき、写真をみて心で何かを感じたり、話を聞いて自分なりに意見を持ったりといった機会に触れていただけることは大きな喜びです。今回の運営の中で至らない点は多々あったと思いますが、いただいたご意見や激励の言葉を糧に、ご来場いただいたみなさま一人ひとりにとって有益な場を提供できるような活動をこれからも続けてまいりたいと思います。今後とも末長くよろしくお願い申し上げます。

以下では、写真展「Us」、講演会、広報活動に関しての報告を掲載します。お読みいただければ幸いです。なお、本件に関しましてご意見やご不明な点がございましたら、stateless.youth@gmail.comまでご連絡ください。(返信までお時間をいただく場合がございます。あらかじめご了承ください。)

 

2.写真展「Us」について

(文責:倉田)

昨年の写真展ではプロの写真家の方2名の写真を展示いたしましたが、本年の写真展では現役大学生2名の写真を展示しました。ただし被写体は本年も世界最大の無国籍者の集団とされているロヒンギャであり、今年は現役大学生らしく写真のメッセージ性やこだわりを前面に出した展示を目指しました。彼らの取材力や行動力はかねてから聞き及んでおり感銘を受けていたためご依頼したわけですが、大学生の活動家にとって取材したことを形として世に出すことは難しく、そのお手伝いをしていただいた面もあります。

そしてその2名は、城内ジョースケさんと鶴颯人さんです。城内さんは早稲田大学の4年生であり、2018年3月にロヒンギャの人々と出会ったことをきっかけにその時に感じたという不条理への疑問から何度も現地を訪れて取材などを行っている方です。鶴さんは立命館大学の3年生で、今回は京都からわざわざお越しいただきました。2018年春にミャンマーにあるロヒンギャの村を訪問したことを機

にロヒンギャ問題の取材を始め、インターネット記事を書くなど執筆活動も行っている方です。お二人はそれぞれの取材で訪れていたミャンマーで連絡を取って会うほどの仲だそうで、準備の段階でも仲のいいお二人だからこそ為し得るお互いのこだわりの詰まった展示方法を話し合っていただけたため、主催者側としても安心して仕事をご一緒することができました。

展示した写真について簡単にご紹介します。ロヒンギャはミャンマー・バングラディシュを中心に世界各地に分布しているのですが、今回はお二人がそれぞれ訪れたことのあるミャンマーのミャウーとシットウェーやバングラデシュのクトゥパロン、バルカリの各難民キャンプ、マレーシアと日本のロヒンギャコミュニティで撮影された写真を展示しました。どの写真も現地の方とのコミュニケーションなしには撮影できないような臨場感あふれるものばかりですが、ミャンマーの写真は現在は政情が不安定なため入ることすら困難な国内避難民キャンプで撮られたもので本当に貴重な写真が並びました。

写真展のタイトルは「Us」でした。「難民」はただ「かわいそうな人々」か、異なる境遇の人々を他者化していないだろうか、という写真家の方々の思いを「Us(私たち)」という題名に込めました。さらにこの気持ちを実際に形として表現しようと、いくつかの工夫を施しました。1つ目はキャプションをあえて目に見える形で展示しないという工夫です。題名や撮影者の名前と場所という最低限の情報のみを掲載し、具体的な写真の説明は展示しませんでした。写真展や美術館・博物館にいらっしゃる方の多くは展示物の脇にあるキャプションを手がかりにそのものを理解し解釈しようとするのではないでしょうか。音声ガイドというツールが衰退せず、むしろ有名アナウンサーなどを起用する投資のされ方は需要の高さを物語っているように思います。しかしこのプロセスでは先に与えられた情報の中でしか解釈ができず、自分で自由に見ること、自由に解釈することを放棄してしまっている可能性があります。私たちもロヒンギャ問題という理解が難しいテーマを扱っているからこそ先入観を排除した状態で写真を見ていただき、目の前の写真から何を感じ、何を思ったかを大事にしていただきたいと考え、文字でのキャプションの展示を行いませんでした。ただ、その写真をとった人がどのような気持ちを込めたかを伝えたい面も一方であります。そこで写真家2名の提案で「QRコード」を代わりに展示し、それを読み取ることで込められた思いやその写真の文脈をインターネット上で読むことができるようにしました。インターネット内で読めるため、展示しきれなかった関連する写真や写真の中の人物が話していたことなど惜しみなく掲載していただきました。写真展から出た後も、ふとある写真が思い出されたときは自分のスマートフォン上で閲覧履歴から思い返せることも狙いの一つであります。

先ほど来場者の方に自分で自由に見て考えていただきたいという意図を説明しましたが、私たちとしては実際どのようなことを考えられたのか気になるところでもあります。またパッと思いついた事柄を文字化することで自分の考えとしてより昇華できるというのも事実で、来場者の方々にその場を提供しようと考えました。そこで誕生したのが、みんなが写真展の感想を自由に書けるコーナーでした。これが2つ目の工夫です。コーナーの近くに付箋紙を用意し、写真展に来て感じたことを自由に書いていただくだけの場です。正直、どれくらいの方に書いていただけるだろうかと不安でしたが、69名もの方の意見をいただくことができました。寄せられた意見には実に様々な感想が見られ、QRコード方式で展示してよかったと実感できる結果でした。

そのほか、そもそもロヒンギャ問題とは何か、そして私たちが活動の主眼としている「無国籍」とは何かがわかるようなリーフレットを作成し入り口で来ていただいた方全員にお渡ししました。このリーフレットも各方面の方から好評をいただき、現在NPO法人無国籍ネットワークのHP上に掲載することを検討している段階です。

最後になりますが、各日程でお越しいただいた方の数を以下にまとめます。本当に多くの方に来ていただき写真を見て思考を巡らせていただけたことに感謝すると同時に、この数字を活動への応援と捉えこれからの活動に邁進していくことをお約束して本章を締め括ります。

[Table]

3.講演会について

(写真)左から根本教授、ゾーさん、SNY髙橋
 (写真)左から根本教授、ゾーさん、SNY髙橋

(文責:髙橋)

3.1 開催の経緯

無国籍ネットワークユース(以下SNY)がこれまで開催してきた写真展では、多くの方々に問題を知ってもらうことができたと考えています。しかしながら、せっかく興味を持って来ていただいたのに写真展会場への数分の滞在で終わらせてしまうのはもったいないのではないかという反省がありました。これまでの企画の背景には、社会的に関心の薄い無国籍の問題に触れ、身近に感じてもらうためにはどのような方法が効果的なのかという問題意識がありました。そこで、気軽に足を運びやすく、また写真という視覚的な情報を通じて学生から社会人まで広範な対象にメッセージを届けることが期待できる企画として写真展を開催していました。しかし、無国籍やロヒンギャの問題は極めて複雑な構造をしており、写真展では伝えきれないことが多分にあります。そのため、今年度は写真展の期間に合わせて、より深く学ぶ機会として、ロヒンギャ問題の専門家お二人による講演会の開催を決定しました。

3.2 講演者の紹介

無国籍やロヒンギャの問題についての専門家は国内にはそれほど多くありませんが、この道の第一人者とも呼ぶべきお二人が講演を快くお引き受けくださいました。上智大学総合グローバル学部教授の根本敬教授と在日ビルマロヒンギャ協会のゾーミントゥ(Zaw Min Htut)さんです。根本先生は、ビルマの近現代史研究を専門にされており、ロヒンギャ問題の歴史的経緯について各所で研究成果を発表されています。講演テーマは「ロヒンギャ問題の歴史的背景をたどる」でした。ゾーミントゥさんは2002年にロヒンギャとして日本で初めて難民認定されるという経歴を持ち、現在まで国内外のロヒンギャの状況改善に取り組んでこられました。講演テーマは「国内外のロヒンギャ難民の状況〜無国籍の視座から〜」でした。

3.3 講演会当日

席が埋まるかという不安がありましたが、広報に力をいれたこともあってか、当日は予想をはるかに超える人数(約70名)の方にご来場いただきました。特に大学生など若い参加者が多かったことは、無国籍・ロヒンギャ問題の長期的な解決を見据えて幅広い層の方に知ってもらおうという本企画の趣旨からはとても喜ばしいことでした。

当日はまず、根本先生にロヒンギャ問題の歴史的背景をお話いただき、少しの休憩を挟んだ後、当事者であるゾーさんに自身の実体験も交えた貴重なお話をしていただきました。その後行った来場者からの質疑応答も含め、実りある学びの場を提供することができたと思います。

3.4 来場者からのご意見

当日は来場者全員にアンケート用紙を配布し、計29名からの回答を得ました。回答内容について以下簡単にまとめます。まず、講演会全体の感想について、「1. 大変良かった」、「2. 良かった」、「3. あまり良くなかった」、「4. 良くなかった」の4段階で質問し、1.と答えた方が21名、2.と答えた方が8名でした。高評価について、二人の後援者にお話しいただく2部構成を理由に挙げている方が多く見受けられました。具体的には、専門的な知見を得た上で当事者の話を聞くことができた、また知識のない状態からも一から学ぶことができた、などというご意見をいただきました。

3.5 総括

今回の講演会は私たちにとって初めての試みでしたが、講演者お二人、そして他のSNYメンバーの協力に支えられ、大変多くの方にご来場いただき、また関心を持っていただくことができたと考えています。今後もこの問題について学びたいので、引き続き活動をしてほしい、この他の問題にも取り組んでほしいなど、大変励みになるご感想をいただきました。私たちSNYは、今年度の講演会開催の経験を活かし、無国籍問題の解決のために、さらなる活動の場を探求し切り開いていくことを目指します。

4. 広報活動について

学内掲示用ポスター
学内掲示用ポスター
立て看板用ポスター
立て看板用ポスター

(文責:北村、編集:倉田)

今回の写真展・講演会開催にあたっては主に以下の媒体を通して広報活動を実施しました。つきましては関係者各位、協力していただいた方々にこの場を借りて御礼申し上げます。

  • 大学内立て看板(協力:早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター)
  • 大学内掲示ポスター(カラー版、白黒版)
  • 早稲田大学27号館ショーウィンドウでの展示・掲示(写真提供:狩新那生助さん)
  • 大学内置きビラ
  • SNY公式インスタグラム
  • SNY公式Facebook
  • 授業に出向いて宣伝活動
  • NPO法人無国籍ネットワークを介してのメールマガジンやメーリングリストでの広報
  • これまでに関わりのあった方々へのメール

ポスターデザインは、今回展示をする写真家2名にそれぞれの思う印象的な写真を提供していただきそれらを大々的に扱いつつ、シンプルでインパクトのある仕上がりにしました(下図参照)。その結果、特に学内立て看板が印象的で来場してくださった方も少なくありませんでした。また我々が一部の来場者を対象に行ったアンケートで、授業での宣伝で来てくださった方が多いことが判明しており、活動やエピソードを直接伝えることの重要性を実感しました。貴重な授業の時間を割いて宣伝に協力していただいた各先生方に改めて感謝いたします。

5. メンバーからの感想

早稲田大学1年 小川いぶき

写真展「Us」。展示しているのは主にロヒンギャの写真であるのに、なぜ題名が「私たち」を意味する「Us」なのだろうと感じた人も少なくないと思います。しかし、この名前に隠された理由は展示されている全ての写真を見た帰路の途中で、じわじわと感じられたのではないでしょうか。この写真展では写真の下部にある従来の脚注ではなく、QRコードを読み取って一枚一枚の写真の実情を読み取ってもらうという、新しいスタイルを開拓しています。学生にもっとロヒンギャを身近に感じて欲しいという趣旨に沿っているし、実際にスマートフォンを片手に写真を眺める学生たちは画像と文字で情報を得ることで、より鮮明にそこに広がる過酷な難民たちの状況を理解することができたと思います。国籍を持っている「私たち」の生活は当たり前ではないこと、そしてそんな「私たち」が彼らに何ができるのか、一人でも多くの学生に考えてもらえていたら嬉しいです。

早稲田大学1年 栗本紗綾香

今回の写真展が、私にとって写真展の準備や運営に携わる初めての機会でした。その中で様々なことを学ぶことができたと思っています。まず、今回の写真展の写真を撮っていらっしゃる写真家のお二方から沢山お話を伺うことができました。私と同じ大学生が、無国籍の問題を抱えている地域へ行き写真家として活動しているということから、私とは次元が違う方なのだろうと思っていました。しかし、お話ししてみて、ちょっとしたきっかけからこのような活動をされていることが分かり、お二方の行動力や情熱に感銘を受けると同時に、私でも何か無国籍を知ってもらうためにできることがもっとあるのではないかと思いました。そして、写真の背景を詳しく知ったことでより無国籍について深く考えることができました。写真の人物へのインタビューによって、一言で無国籍者と括るのではなく、彼らにも私たちと同じように辛いことや幸せなことがあるのだということを知りました。支援する側は、一人一人の事情や生活にもっと目を向けて行かなくてはならないのではないかと感じました。自分とは関係のないもの、と感じてしまいがちな問題ではありますが、今回の写真展を通じて実感できたのではないかと思います。

早稲田大学1年 原尻伊織

我々は机上の空論をしがちだ。新聞やテレビ、学校の授業で「難民」「無国籍」という言葉を耳にする。UNHCRの論文や様々な文献を読む。難民について“知る“。

写真展を開催して、私たちが”知っている”と思っていたことが本当の意味での「知る」ではなかったことに気づかされた。現場について何も知らないのである。

私たちはどこか「難民って大変そうだよね」「無国籍って大変そうだよね」と彼らのことを無意識に下に見る。私たちには関係ない話だけど、そういう環境に置かれている人がいることは知っている、くらいに思っているかもしれない。何故そう考えてしまうのだろう。それは”知る”ことしかしてないからだ。

写真展に展示されている写真をみると、ロヒンギャで起こっている出来事に対する認識が「難民」の物語ではなく、写真の中にいる1人1人の人間、私たちと同じ時代に生まれた同じ人間が、生まれた場所が違うというだけで苦しんでいる物語へと変わる。

それが本当の意味での「知る」ではないだろうか。はじめは”知る”から何事も始まる。私たち学生は”知る”のまま、踏み止まりがちだ。”知る”から「知る」になるには、現場を見ることが大切である。写真展での写真は現場そのものを写し出す。自分たちは、現場に行くことは難しいかもしれない。しかし写真で現場を感じられるのなら感じていきたい。「知って」いきたいと思うのだ。

無国籍ネットワークセミナー11月17日「一世と二世のあいだ」報告

無国籍ネットワークセミナー11月17日

「一世と二世のあいだ」報告

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

2018年11月17日、早稲田大学にて 連続セミナー第8回「一世と二世のあいだ」を開催しました。2017年から2年間、8回の連続セミナーを開催し、さまざまな無国籍・難民の当事者の方の話を聞き、日本に住むマイノリティーと難民についての理解を深めました。今回はビルマ出身のカチン族のマリップさんと娘さんのセンジャトイさんに、 日本に渡って来た一世と日本で生まれ育った二世、両方の話を聞くことができました。

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

マリップさんはミャンマー政府の迫害を避けるために日本に渡って来ました。カチン族とミャンマー政府の紛争は1961年に始まり、まだ続いています。数千人の一般人が命を失い、10万人以上の避難民が発生しました。[1]日本に来てからもカチンを含めた少数民族への支援を続けていたマリップさんは、2012年、NPO法人PEACEを設立しました。PEACEでは日本語・英語・ミャンマー語の教育とミャンマー国内における国際協力事業に取り組んでいます。「日本に渡ってきた人たちが一番苦労するのが日本語です。それを見て、日本語教室を開きました。PEACEで日本語を学んで、就職したり、日本語能力試験に受かったりします。」とマリップさんは言語教育の重要性を強調しました。そんなマリップさんの姿を見て、娘のセンジャトイさんもPEACEの活動に取り組んでいます。お母さんがいつも周りの人を助けているのを見て、自分も人に役に立てる仕事をしたいと思ったセンジャトイさんは、今大学で国際関係を勉強しています。

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

センジャトイさんは、自分の名前が他の人と違ってカタカナということで、いじめられたことがあります。日本で生まれ育ち、一度も本国のビルマで暮らしたことがないのにも関わらず、外国人のような扱いをされ、一時期「通名」を使っていた時期もあったようです。ところがある日、在日コリアンが植民地時代に民族名を奪われ、通名を使っていたという話を聞き、自分のアイデンティティーにプライドを持ち、本名に戻ることに決めました。「見た目で判断せずに、心を開いて人を接して欲しいです。」センジャトイさんは日本にマイノリティーとして暮らしている人々を代弁しました。

今回のセミナーには、無国籍ネットワーク・ユースのメンバーを含め、たくさんの学生が参加しました。同世代のセンジャトイさんからの話から刺激を受けた学生たちとセンジャトイさんの対話は、休み時間が終わるまで続きました。「今後どういう仕事をしたいのか」の質問に対して、センジャトイさんは「まだ決めてはないが、ビルマにいるカチンの人々の役にたつ仕事をしたい」と答えました。マリップさんもPEACEや他の活動を通じて、日本国内・ビルマ現地の少数民族に出来るだけのサポートをしていきたいと付け加えました。特定非営利活動法人PEACE:https://www.npopeacejapan.com

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

8回の連続セミナーを通して、普段の生活の中だったら出会えないかもしれない難民や無国籍の当事者の本国と日本での経験を

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

聞くことができました。山村先生との対談の形で当事者の人生を振り返り、来日を決めた理由と来日してから苦労した経験、難民申請のプロセスや家族の話など、色んなことを語りました。そこで一番印象的だったのは、難民として来日し生活が苦しかった当事者の方々が、それにも関わらず周りの人を助けようとしたところでした。ずっと難民として認められず、子供が無国籍状態のエルマスさんは、日本語が分からないクルド人のために通訳をしていました。(第3回, 2017年9月30日)そして医療分野の仕事をしているネパール系日本人(親がチベット難民)の塩田ドルジさんは、日本語が分からない患者のため、毎週新宿区のクリニックで英語とチベット語で診療をしていました。(第7回, 2018年11月17日)

 

「難民の背景を持つ人はいつまでも頼り続ける」という偏見を克服し、日本という新しい居場所で暮らしていく方々に出会えたセミナーでした。

 

写真©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

[1] Beech, Hannah. “Inside the Kachin War Against Burma | Time.” Time, November 21, 2014. http://time.com/3598969/kachin-independence-army-kia-burma-myanmar-laiza/.

 

2018年9月22日(土)無国籍ネットワーク 連続セミナー第7回「親の文化を伝えたい」

無国籍ネットワークよりイベントのご案内です。

9月22日にトークイベントを行います。

今回のゲストはチベット・ネパール系日本人のドルジさんです。

みなさま、ふるってご参加くださいませ。

以下、詳細になります。

 

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【日時】2018年9月22日(土) 15:00~17:00

【費用】無料

【会場】早稲田大学  11号館 819教室

(アクセスマップ>>  https://goo.gl/maps/APSkFS6Wz7t

【懇親会】セミナー終了後の17:30より懇親会(参加費1500円程度)を行います。

場所はターリー屋西早稲田店(http://thali-ya.com/shop/nisiwaseda.html)です。

 

お申し込みはこちらから↓

https://goo.gl/forms/PgYHZuuNGSzinVKx2

 

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連続セミナーについて

アジアでは、たくさんの少数民族が国家のなかに組みこまれ、多民族国家として成立しています。少数民族は国籍が与えられないことがあり、かりに国籍を有していても二級市民あつかいされがちです。日本にも、このような少数民族がくらしています。

ほとんどが難民として日本にのがれて来ましたが、日本政府は難民としてみとめていません。本国と同様、日本においてもまた彼/彼女らに居場所を見つけるのは容易ではなく、少数派、あるいは無国籍者として生きていかざるをえません。とはいっても、逆境をバネにした力強い姿が、彼/彼女らのなかにみいだされます。

連続セミナーでは、本国と日本での経験を話していただきます。少数派の語りをとおして、国籍や民族について共に考え、同時に、普段は気が付かない日本社会の一面や彼/彼女らの活力を感じてみませんか?

 

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2018年8月4日李節子教授によるセミナー「在日外国人の健康支援:誰一人取り残さない母子保健のために」のレポート

李節子教授によるセミナー「在日外国人の健康支援:誰一人取り残さない母子保健のために」

——-東京、2018年8月、三谷純子(無国籍ネットワーク理事)

 

無国籍ネットワークは、在日外国人の健康支援について、40年間、研究や支援をなさってきた長崎県立大学大学院の李節子教授によるセミナーを、2018年8月4日、東京ボランティア市民活動センターで開催しました。

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「健康に生きる権利は、世界中の誰もが持っている基本的人権です。日本で暮らす外国人にもその権利はあると、私は、40年間、あらゆる機会に、どんな人にも、訴え続けてきました」と李先生は、情熱的に話し始めました。健康への権利は、『WHO憲章』や、いくつもの国際宣言に謳われ、『世界人権規約』、『児童の権利に関する条約』等にも記されています。また、国際社会全体が2030年までの達成を目指して促進中の『持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDG)』にも、全ての人の健康的な生活の確保と福祉の推進や、ジェンダーの平等の下での、性と生殖に関する健康への権利の実現が含まれています。SDGは、「誰ひとり取り残さない」ことを掲げているので、難民や移民、無国籍者も、在留資格の有無に関わりなく、SDGの対象に含まれると考えられます。「グローバル化等の影響により、日本でも、在日外国人が増えていますが、忘れられがちなのは、在外邦人も増加しているという事実です。SDGを達成するには、国籍や法的地位とは無関係に、今ここにいる全ての人の健康への権利を、お互い様という気持ちで、各国で守りあうことが不可欠です」と、李教授は指摘しました。

 

日本で暮らす外国人の保健医療に関しては、言葉の壁、心の壁、制度の壁により、様々な問題が発生しています。特に、在留カードを持っていない非正規滞在の妊産婦とその子どもの健康への権利を、誰がどのように守るのかは大きな課題です。非正規滞在の発覚を恐れ、出産前検診も受けない出産は、時に母子の命に関わります。感染症は、国籍や在留資格とは無関係に拡大します。予防接種をしていない子どもの増加は、本人だけでなく、社会全体のリスクも高めます。しかし、日本語がよくわからず、自国と異なる制度を十分に活用できない外国人は少なくありません。

 

非正規在留者も含めた外国人も、日本の児童福祉法や母子保健法により、母子手帳の交付や、妊婦検診、子どもへの予防接種等は、受けられるはずです。2009年の参議院法務委員会で、在留カードの有無に関わらず、予防接種や就学の案内等の行政上の便益を全ての外国人が引き続き享受できるよう、体制の整備に万全を期すことが決議されています。ところが、非正規在留者が子どものために勇気を出して自治体の窓口を訪れても、在留カードがなく、住民登録がないことを理由に、窓口担当者が、基礎的な母子保健制度の利用を認めないケースが各地で発生しています。また、非正規滞在者の医療費未払いに困った病院が、そのような人の受け入れを拒むこともあります。そこで、親の法的地位や、国籍、経済力により、子どもの健康への権利が大きく損なわれないよう、子どもが暮らしている社会全体で支える必要があります。

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勿論、保健医療の現場では、外国人の健康への権利を守る様々な取り組みもされてきました。セミナーでは、神奈川国際交流財団のご厚意で、当事者や医療関係者向けの多言語の資料が配布され、特定NPO法人シェアの紹介もされました。ただ、現場の取り組みは、広く共有されず、散逸しがちです。解決法も、相談先もわからず、困っている当事者や関係者も少なくありません。李教授が、編集・執筆し、杏林書院から出版されたばかりの『在日外国人の健康支援と医療通訳:誰一人とりのこさないために』という本には、関連する法律や制度の説明と共に、問題解決の事例が豊富に載っています。「この本は、多くの人達が、悪戦苦闘してきた長年の努力の集大成なんです。実際に役に立つ情報をたくさん、簡潔にまとめました。問題解決にも人材育成にも役立つ内容です。日本で暮らす外国人の健康支援体制を構築し、SDGが達成されるように、私も全力を尽くします」と教授は講演を締めくくりました。

 

セミナーには、酷暑の中、保健医療の現場で働く方々、在日外国人の支援の関係者、研究者、報道関係者、無国籍状態の人など、25名が参加しました。「看護師として、現場で外国人にどのように関わっていけばいいのか」という質問に対し、李教授は、「先ず、心を込めてケアをすることです。それから、一人で抱え込まずに、病院のケースワーカーやNPOと連携してください。」と答え、「支援する側は、自分がヒーローになろうとしていないか、かわいそうだからという上からの態度になっていないかに気を付け、当事者の目線に立ち、一緒に解決していくことを忘れないで。」と付け加えました。懇親会でも、参加者の様々な経験の共有が続きました。今後、日本で暮らす外国人が増加するなかで、重要な役割を担う医療通訳を適切な収入を得られる職業として確立する必要性や、行政が経費節約のため外国人対応を省略しないようにする必要性、現場の医療人の外国人対応への知識や能力の向上の必要性、家族形成や出産年齢の人が多い外国人労働者を労働力としてだけでなく、生活の場を共有する人として捉える必要性、当事者や医療関係者、行政、支援団体等が協力して、外国人の健康の権利を確保する体制を構築するための立法や財源の必要性も、話題になりました。

 

無国籍ネットワークのセミナーは、法律やアイデンティティに関する内容が多いのですが、今回の講演で、健康への権利と無国籍の関係について考えるための材料が増えました。

 

  • 李節子先生の新著『在日外国人の健康支援と医療通訳』杏林書院 2018はamazonでは、2700円で9月1日発売予定です。
  • かながわ国際交流財団が発行する多言語の資料は、www.kifjp.orgにあります。
  • シェアは、医療保健を中心とし、命を守る人を育てる活動を国内外で実施している特定非営利活動法人です。 http://share.or.jp/index.html

 

「2018年6月16日 児童養護施設における”無国籍”調査報告」のレポート

「2018年6月16日 児童養護施設における”無国籍”調査報告」のレポートです!
当日の様子・内容が書かれています。

「2017年 児童養護施設における外国につながる子どもと無国籍に関する実態調査」報告

2018年6月16日、早稲田大学にて、石井香世子教授(立教大学社会学部)による「2017年 児童養護施設における外国につながる子どもと無国籍に関する実態調査」と題した発表が行われました。

最初に、タイの山地民とともに生活しながら研究をされていた経験を、ご自身の写真も含めて紹介され、ご研究の中で無国籍の問題があることを認識し、無国籍についての調査を行うことになったという経緯をご紹介されました。次に無戸籍と無国籍といった、従来混乱しやすい概念について説明され、無戸籍者は親が日本国民であると考えられることが多いのに対して、無国籍者の親は日本国民でなく、どの市民権も行使できない方々を指すと説明されました。また、法の文言によって無国籍となるという狭い意味での無国籍に限らず、市民権を行使できない環境にいる人々を無国籍者と捉えていると説明されました。日本において無国籍が問題化しない理由は無国籍者の実態が知られていないことであると考えられるため、日本にいる無国籍者の実態の一部を明らかにすることを目的として、全国の児童養護施設にアンケート調査を行われました。

多忙な児童養護施設からのアンケートの回答率を上げるために、わかりやすい選択肢を用意することに努め、600の施設にアンケートを配布したところ、300の有効回答があったと紹介されました。国籍がない(かもしれない)と思われる子どもがいたことはあるか、もしくは現在いるか、との質問への回答からは、無国籍と思われる子どもが児童養護施設にいる割合にばらつきがあり、都道府県別の在留外国人の人数が多い県で必ずしも無国籍と思われる子どもの数が多いわけではないことが指摘されました。また、在留外国人の人数と児童養護施設における無国籍と思われる子どもの数には相関関係がないことも指摘されました。さらに、無国籍と思われる子について国籍取得に関する相談をしたことがあるか、という質問への回答からは、役場の戸籍課、法務局、弁護士に相談する事例が多い一方で、国籍取得率は児童相談所や弁護士に相談した際に高いことが指摘されました。

後の質疑応答では、実態調査の対象を、児童相談所でなく児童養護施設にした理由に関する質問が投げかけられ、児童相談所によるアンケートへの協力は困難であると考え、児童養護施設への調査を実施したと説明されました。無国籍者の実態を明らかにすることの困難さを認識するとともに、無国籍者の実態の一部が垣間見れる貴重な発表でした。

 

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無国籍ネットワーク運営委員 秋山 肇

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