近年、無国籍についての社会的な認知が高まりを見せるとともに、 無国籍研究も進んでいます。 国際法は無国籍についての国際的な取り組みを理解するために重要 な視点ですが、現実への影響を検討する際には、 国際法が国内においていかに適用されうるのかを検討する必要があ ります。今回は無国籍に関連する国際法と日本の関連性について、 秋山肇氏にご報告いただきます。
日時:2016年7月3日(日) 14:00-15:00
報告タイトル:
日本における国会審議に見る無国籍: 自由権規約をめぐる議論を通して
報告要旨:
本報告は、 日本の国会審議において無国籍がいかに議論されてきたかを、 市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約) をめぐる議論を通して検証する。 1979年に日本が批准した自由権規約は、 第24条第3項において子どもの国籍への権利を規定している。 無国籍の予防も子どもの国籍への権利の一つに含まれると考えられ るが、自由権規約が日本の国会において審議された際、 無国籍はどのように議論されたのだろうか。 国会審議を検討することで、日本の政府が、 自由権規約と国籍の付与及び無国籍の予防の関連性をいかに理解し ていたかを検討することが本報告の目的である。
報告者:
秋山 肇(あきやま はじめ)
日本学術振興会特別研究員。国際基督教大学大学院博士後期課程。 2016年3月に国際基督教大学大学院博士前期課程を優等で修了 し、修士(平和研究)。第29回佐藤栄作賞優秀賞受賞。 主に国際法の視点から無国籍について研究している。 訳 書にStatelessness Conventions and Japanese Laws: Convergence and Divergence (2016, Office of the United Nations High Commissioner for Refugees) がある。無国籍ネットワーク運営委員。