「『われわれは無国籍にされた』— 国境のロヒンギャ —」 写真展 (国際開発学会&人間の安全保障学会2019共催大会で開催)

今年の東京大学駒場キャンパスで開催される国際開発学会&人間の安全保障学会2019共催大会のサイドイベントとして、在日ビルマ・ロヒンギャ協会、無国籍ネットワーク、無国籍ネットワークユースの巡回写真展「『われわれは無国籍にされた』— 国境のロヒンギャ —」を開催します。難民の問題も主要なテーマとして扱われる学会で、国境地域にある難民キャンプに暮らすロヒンギャ難民の姿を映し出した作品を展示します。

場所:東京大学駒場Ⅰキャンパス

 ( 東京都目黒区駒場3丁目8−1)KOMCEEast B1Fホワイエ

会期:2019年11月16日(土)~17日(日)
時間: 2019年11月16日(土)9:00~18:15
    2019年11月17日(日)8:30~17:40
共催:HSF(人間の安全フォーラム)、BRAJ(在日ロヒンギャ協会)、無国籍ネットワーク、無国籍ネットワークユース

後援:東京大学大学院総合文化研究科グローバル地域研究機構・持続的平和研究センター(RCSP)、東京大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム(HSP) 公式HP:https://stateless-network.com/?p=2180

学会自体は入場料がかかりますが、このサイドイベントは入場料はかかりません。

写真家とロヒンギャの方によるトークセッションのスケジュール

11月16日(土)
11時15分~35分;トーク➀
13時20分~40分;トーク➁
17時40分~18時;トーク➂
 
11月17日(日)
10時15分~35分;トーク➀ 
11時15分~45分;トーク②
13時00分~13時20分;トーク③
16時30分~16時50分;トーク④

写真展の企画について

本企画は、無国籍者を支援する特定非営利活動法人・無国籍ネットワークが早稲田大学(2018年12月)、群馬県館林市(2019年6月)において開催した写真展「『われわれは無国籍にされた』―国境のロヒンギャ」(写真:狩新那生助氏・新畑克也氏)の巡回展を、人間の安全保障学会学生部会・上記無国籍ネットワーク・在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)・特定非営利活動法人「人間の安全保障」フォーラム(HSF)の共催により、本共催大会のサイドイベントとして開催するものである。なお、本企画は持続的平和研究センター(RCSP)の後援を受ける。

本企画の目的は、来場者に、現在バングラデシュなど国外の難民キャンプやビルマ(ミャンマー)の国内避難民キャンプで、悲惨な状況に置かれているロヒンギャの現状を伝えること、そして当該問題に関心がある様々な人々の間に交流の機会を創出することであり、写真の展示に加えてBRAJのメンバーや狩新那氏・新畑氏を招いたトークセッションを設けている(トークセッションのタイムテーブルについては、大会プログラムに記載)。さらに、パンフレットの配布やパネルの設置を通して、BRAJ・無国籍ネットワーク・HSF、各団体の活動について紹介する。

周知のように、ロヒンギャは主にビルマ(ミャンマー)西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族であり、軍事政権により国籍を奪われて以降無国籍の状態に留め置かれ、長年にわたって差別と迫害を受け続けている。これまで、特に2017年の衝突以降、多くの人々が隣国バングラデシュを主とする国外に逃れているが、バングラデシュの難民キャンプの受け入れはすでに限界を迎えつつあり、ロヒンギャの人々は劣悪な環境下での生活を余儀なくされている。本企画においては、写真家である狩新那生助氏・新畑克也氏が、国境付近のキャンプの中でも世界最大規模のクトゥパロン難民キャンプやビルマ(ミャンマー)の国内避難民キャンプで撮影したものから、展示する作品を選択する。なお、上述のとおり本企画は無国籍ネットワーク・BRAJ共催の写真展の巡回展であるが、同写真展は、日本在住のロヒンギャの当事者団体であるBRAJとの密接な関係のなかで実現した。写真家の両氏が現地を訪問した際も、BRAJの協力を得ている。狩新那氏撮影分の作品については、同氏の近著「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」(2018年、柘植書房新社)と「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」(2017年、柘植書房新社)から選んだものが展示される。新畑氏の撮影時期は2017年と2018年、狩新那氏は2014年と2017年である。

他方、1980年代以降、日本に逃れてきたロヒンギャも徐々に増加しており、現在、250人から300人程度が国内に居住していると推定される。そのほとんどが群馬県館林市に集住しており、多くが難民認定を受けたり、在留特別許可を得た人やその家族であるが、就労資格がなく不安定な仮放免の状態である場合もある。HSFでは、当時館林市に暮らしていたロヒンギャ女性の協力を得、2017年7月に、ロヒンギャの子供たちを対象とした学習支援プロジェクトを立ちあげた。現在も館林市内の公民館において、隔週で学習支援活動を展開しており、各回数名から十数名の子ども(未就学児から中学生まで)の参加がある。彼らの多くは日本で生まれた日本語話者であり、日本の学校に通学し、日本語を用いて勉強している。本企画では、こうしたHSFの活動や市内の子どもたちの様子等についても、差し支えのない範囲で紹介していく。

ロヒンギャ難民について

ビルマでの迫害が一層高まった2017年から大量のロヒンギャが村を焼かれ、虐殺を逃れるためにバングラデシュの国境を渡りました。UNHCRによるとその数は70万人を超えると言われています。ロヒンギャに対する差別や迫害と暴力は今始まったことではなく以前からバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民の数と合わせると現在キャンプやその周辺に住んでいるロヒンギャ難民はUNHCRの推計では130万人もいると言われています。いくつもある国境付近のキャンプの中でもクトゥパロン難民キャンプは世界最大規模のキャンプです。今回の写真展で展示する作品はクトゥパロン難民キャンプで撮影されたものと一部はビルマにある国内避難民(IDP)キャンプで撮影されたものです。

ロヒンギャは人種・宗教・民族による理由から長年にわたる迫害を受け続け、世界のあらゆる国へと逃れていきました。ミャンマー連邦共和国の以前の軍事政権により国籍を奪われ、無国籍の状態に置かれ、今もそのことが難民危機の重要な課題となっています。1980年代後半から日本に庇護を求める人もおり、これまで日本で難民申請をした者は120人程度いると言われています。難民認定や在留特別許可が与えられた者は100人近くいます。呼び寄せられた家族、日本で生まれた子ども、まだ在留資格が与えられていない方を含め、250人から300人のロヒンギャが日本に住んでいると推定されています。多くのロヒンギャは日本の群馬県館林市に集住しており、市民社会の一員として長年にわたって暮らしてきました。

This year as a side event for the JAHSS・JASID Joint International Conference

【写真家】Photographers

狩新那生助(かりにいな しょうすけ)フリーランス・フォトグラファー

フリーランス・フォトグラファーとして何度もビルマとバングラデシュの国境地域を訪れています。

著書には「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」(2018年)と「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」(2017年)。いずれもバングラデシュ国境付近にあるクトゥパロン難民キャンプとその周辺に住む人たちの生活の様子を撮った作品です。

今回の写真展では両方の写真集から選んだ作品を展示します。

Shosuke Kalinina has visited the border region of Burma and Bangladesh many times as a freelance photographer and at this exhibition we will be displaying photos taken in 2014 and in 2016 (published in 2017 and 2018 respectively), both inside and in the surrounding areas of the Kutupalong refugee camp. His publications include 「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」[Tears of Kutupalong: Rohingya People Enduring Life in a Refugee Camp] (2018) and 「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」[Beyond the Naf River: Rohingya People Surviving in Bangladesh] (2017).

新畑克也(しんばや かつや)ドキュメンタリー・フォトグラファー

2017年にミャンマー(ビルマ)国内(シットウェのIDPキャンプ)で撮った写真と2018年にバングラデシュ側のクトゥパロンで撮影した写真から選んだものを展示します。ビルマとバングラデシュの両方に住むロヒンギャの生活の様子を撮った作品です。

ミャンマー祭り2019『日本・ミャンマー交流写真展』優秀賞

Katsuya Shimbata has been visiting Rakhine State as a documentary photographer in recent years. He has taken photos of Rohingya living inside Burma in Rakhine state in 2016 and has also visited the Kutupalong refugee camp in Bangladesh in 2017. At this exhibition we are displaying works taken in Kutupalong refugee camp, and those taken in a camp inside Burma for internally displaced people (IDPs).

He received an Award of Excellence for his work displayed at the Japan Myanmar Photo Exhibition at the 2019 Myanmar Festival in Tokyo.

 

 

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