2016年11月19日に早稲田大学にて無国籍ネットワークの第6回総会・事業報告会・講演会が行われました。
事業報告会には33人が参加しました。本年度の活動では、無国籍ネットワークの学生グループであるステネトユースの活躍が目立ちました。グレッグ・コンスタンティン氏の写真展や講演会の準備でもユースが頑張りました。また、立教大学(石井香世子先生のゼミ)、東京大学(池本先生の研究室)、早稲田大学(陳ゼミ)と無国籍ネットワークが共催したタイでのスタディーツアーでフィールド経験も積んでいます。
その他の活動としては、名古屋の児童福祉センターでの無国籍に関する研修相談会や、無国籍について学ぶゼミも東京で2回、大阪で1回開催されました。ホームページ等で寄せられた法律相談も17件受けました。また、代表である陳天璽の「無国籍」の中国語訳出版もされています。
引き続き、元多文化間精神医学会理事長で精神科医の野田文隆先生が「帰る国なき難民のこころ」と題する講演をされました。野田先生は長年難民の心のケアに取り組んでこられ、現在、めじろそらクリニックの院長をされています。無国籍や難民の方々の状況や、メンタルヘルスの危機(うつ病、外的身傷後ストレス障害など)の特徴についての解説後、難民のこころの支援の在り方を論じていただきました。聴衆からは、精神疾患の専門家ではない支援者の留意すべき点についての質問が続き、専門家との連携の必要性、支援者側が治してあげられると思い込まないこと、自分の心のキャパシティーを知ることの大切さが指摘されました。
参加された方々からは、「来日したばかりで日本語ができない外国人の方達の精神状態を考えるヒントになった」や「無国籍の人々の生まれる原因、現状、不利益についてはじめて認識することができた」「うつ病について極めてクリアに理解することができた」といったお声をいただきました。
無国籍ネットワーク運営委員 鈴木崇仁