写真展 「われわれは無国籍にされた」— 国境のロヒンギャ — (6/20 – 6/23) Photo gallery: “We are made Stateless”: Rohingya on the Border (6/20 – 6/23)

写真展 「われわれは無国籍にされた」— 国境のロヒンギャ — (6/20 – 6/23) Photo gallery: “We are made Stateless”: Rohingya on the Border (6/20 – 6/23)

写真展について

[English Below]

6月20日世界難民の日から23日まで、無国籍ネットワーク十周年記念のイベントの一つとして、在日ビルマ・ロヒンギャ協会と共に館林市でビルマ(ミャンマー)とバングラデシュの国境地域に逃れた、ビルマによって無国籍にされたロヒンギャ難民をテーマに写真展を開催します。

ビルマでの迫害が一層高まった2017年から大量のロヒンギャが村を焼かれ、虐殺を逃れるためにバングラデシュの国境を渡りました。UNHCRによるとその数は70万人を超えると言われています。ロヒンギャに対する差別や迫害と暴力は今始まったことではなく以前からバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民の数と合わせると現在キャンプやその周辺に住んでいるロヒンギャ難民はUNHCRの推計では130万人もいると言われています。いくつもある国境付近のキャンプの中でもクトゥパロン難民キャンプは世界最大規模のキャンプです。今回の写真展で展示する作品はクトゥパロン難民キャンプで撮影されたものと一部はビルマにある国内避難民(IDP)キャンプで撮影されたものです。

ロヒンギャは人種・宗教・民族による理由から長年にわたる迫害を受け続け、世界のあらゆる国へと逃れていきました。ミャンマー連邦共和国の以前の軍事政権により国籍を奪われ、無国籍の状態に置かれ、今もそのことが難民危機の重要な課題となっています。1980年代後半から日本に庇護を求める人もおり、これまで日本で難民申請をした者は120人程度いると言われています。難民認定や在留特別許可が与えられた者は100人近くいます。呼び寄せられた家族、日本で生まれた子ども、まだ在留資格が与えられていない方を含め、250人から300人のロヒンギャが日本に住んでいると推定されています。多くのロヒンギャは日本の群馬県館林市に集住しており、市民社会の一員として長年にわたって暮らしてきました。

今回写真展を館林市で開催することによって日本人の住民と同じ館林市民であるロヒンギャとの交流と理解の機会になることを願っています。もちろん、現在難民キャンプで、あるいはビルマ国内で、悲惨な状況に置かれているロヒンギャの現状を伝えるのも目的の一つです。特に、館林市を中心に活動している在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)によるバングラデシュの難民キャンプに向けた支援活動を紹介する予定です。

About the Exhibition

The Stateless Newtwork together with BRAJ will be hosting a photo exhibition featuring Rohingya refugees made stateless by the Burmese government and who are now living in Refugee camps in Bangladesh. Starting on June 20 which is World Refugee Day and finishing on the 23rd this is also one of the Stateless Networks 10 year anniversary events being held this year.

In 2017 the ongoing persecution of Rohingya in Myanmar (Burma) reached an unprecedented level of violence as villages were burned and massacres were taking place. As a result, many Rohingya were forced to flee across the border with Bangladesh. According to the UNHCR their numbers exceed 700 thousand. The discrimination, persecution, and violence directed against Rohingya has been ongoing for the last few decades. When those who had already fled across to Bangladesh in previous years, and who had been living in camps and surrounding areas, are added to those newly arriving refugees, their numbers, according to the UNHCR, come to around 1.3 million. Among the many camps near the border the Kutupalong refugee camp has become the largest refugee camp in the world. The photos on display at this exhibition are mostly taken in and around Kutupalong refugee camp, as well as a selection of photos taken in a camp for internally displaced people (IDPs) inside Burma.

Rohingya, who have faced persecution for many years inside Burma based on issues of race, religion, and ethnic identity, have fled to many countries around the world seeking asylum. They were made stateless because their citizenship has been denied by the previous military government of the Republic of the Union of Myanmar, and this continues to be a major issue of contention in the current crisis. Rohingya have been seeking asylum in Japan since the end of the 1980s, and it is estimated that around 120 Rohingya have sought asylum in Japan. Around 100 have been granted refugee status or humanitarian protection by the Japanese government. When including family members brought to Japan, children born in Japan, and those still waiting for their asylum claims to be accepted, the number of Rohingya living in Japan is estimated to be around 250 to 300 people. Tatebayashi city, in Gunma prefecture has the largest concentration of Rohingya in Japan where they have been living as members of civil society for many years.

It is hoped that the gallery will provide an opportunity for interaction and understanding between Japanese residents of Tatebayashi city and Rohingya who are also residents of the city. The exhibition also aims to raise awareness of the plight of Rohingya in the camps and of those remaining inside Burma. The exhibition also aims to provide an opportunity for promoting the activities of Burmese Rohingya Association in Japan (BRAJ) directed towards assisting refugees living in the camps in Bangladesh.

【写真家】Photographers

狩新那生助(かりにいな しょうすけ)フリーランス・フォトグラファー

フリーランス・フォトグラファーとして何度もビルマとバングラデシュの国境地域を訪れています。

著書には「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」(2018年)と「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」(2017年)。いずれもバングラデシュ国境付近にあるクトゥパロン難民キャンプとその周辺に住む人たちの生活の様子を撮った作品です。

今回の写真展では両方の写真集から選んだ作品を展示します。

Shosuke Kalinina has visited the border region of Burma and Bangladesh many times as a freelance photographer and at this exhibition we will be displaying photos taken in 2014 and in 2016 (published in 2017 and 2018 respectively), both inside and in the surrounding areas of the Kutupalong refugee camp. His publications include 「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」[Tears of Kutupalong: Rohingya People Enduring Life in a Refugee Camp] (2018) and 「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」[Beyond the Naf River: Rohingya People Surviving in Bangladesh] (2017).

新畑克也(しんばや かつや)ドキュメンタリー・フォトグラファー

2017年にミャンマー(ビルマ)国内(シットウェのIDPキャンプ)で撮った写真と2018年にバングラデシュ側のクトゥパロンで撮影した写真から選んだものを展示します。ビルマとバングラデシュの両方に住むロヒンギャの生活の様子を撮った作品です。

ミャンマー祭り2019『日本・ミャンマー交流写真展』優秀賞

Katsuya Shimbata has been visiting Rakhine State as a documentary photographer in recent years. He has taken photos of Rohingya living inside Burma in Rakhine state in 2016 and has also visited the Kutupalong refugee camp in Bangladesh in 2017. At this exhibition we are displaying works taken in Kutupalong refugee camp, and those taken in a camp inside Burma for internally displaced people (IDPs).

He received an Award of Excellence for his work displayed at the Japan Myanmar Photo Exhibition at the 2019 Myanmar Festival in Tokyo.

【詳細】 Details

【場所】館林市三の丸芸術ホール 展示室 (Web)
〒374-0018
群馬県館林市城町1-2 (Map)
(東武伊勢崎線館林駅から徒歩10分)

[Venue] Tatebayashi City Sannomaru Arts Hall, Exhibition Room (Web)

1-2 Shiromachi, Tatebayashi City, Gunma Prefecture, Japan (Zip Code: 374-0018) (Map)

【会期】2019年6月20日(木)から23日(日)
Dates: June 20 (Thursday) to June 23 (Sunday) 2019.

【時間 TIME】10:00~21:00

【写真家】狩新那生助(かりにいな しょうすけ)・新畑克也(しんばた かつや)

Photographers: Shosuke Kalinina and Katsuya Shimbata

【共催】在日ビルマ・ロヒンギャ協会、無国籍ネットワーク、無国籍ネットワークユース

Cohosted: Burma Rohingya Association in Japan (BRAJ), Stateless Network, Stateless Network Youth

【問い合わせ Contact】officer@stateless-network.com

Flyer Japanese PDF

Flyer English PDF

 

 

第14回 すてねとカフェ大阪 報告 

第14回 すてねとカフェin大阪を開催しました。

無国籍ネットワークでは、2019年3月16日に「すてねとカフェin大阪」を開催しました。毎回ご参加下さるメンバーの方や初めて足を運んで下さった方など、15名ほどの参加がありました。

前半は、このたび無国籍ネットワークが新たに交流を始めた「NPOみぎわ」の松原宏樹さんより特別養子縁組についてお話いただきました。「NPOみぎわ」さんは、奈良県を拠点とした第二種社会福祉事業特定非営利活動法人で、生みの親がどうしても育てることのできない赤ちゃんを特別養子縁組して育ての親に託したり、養子縁組が困難な障害を持った赤ちゃんを引き取り、家庭に近い形で育てるといった主に「子どもの命を救う」活動をされています。その他にホスピスケアの理念に沿って病や障がいがあっても最期まで寄り添う家「ホームホスピスみぎわ」も運営されています。

まず、昨今の児童虐待ニュースを例に挙げながら多くの幼い命が奪われている現状が示され、児童相談所の対応への批判が高まっているのはもっともであるが、非正規雇用が多くを占める児童相談所の雇用形態で急増する相談への対応が不可能である点について説明がありました。また虐待による死亡の時期については、出生0日目が圧倒的に多くなっている、つまり、出産したもののそのまま亡くなるという形の虐待が多いとの説明がありました。さらに年間約20万人の中絶、1日に465人、3分に1人の赤ちゃんが中絶されているという具体的な数字が述べられ、実際にはこれ以上の赤ちゃんが中絶されているはずであるとのお話がありました。中絶という名の「合法的殺人」が大きな社会的な問題になることなく受け入れられている現代日本の姿がグラフ等とともに示されました。また、昨今の技術進歩により、出生前の検査が可能になった反面、異常が見つかった場合の90%以上が中絶を選択しているとの指摘もありました。

無事に生まれてきても実親と暮らせない子どもの環境は、施設擁護と家庭擁護に分類されます。施設擁護には、原則0〜2歳の乳児院と原則3〜18歳の児童養護施設などがあり、家庭擁護には、里親、ファミリーホーム、養子縁組があります。最後の養子縁組のなかに普通養子縁組と特別養子縁組があり、「NPOみぎわ」さんは後者の特別養子縁組をサポートされています。特別養子縁組は、6歳未満の子どもの福祉を目的としてつくられた制度で、血のつながりのない育ての親と子どもが法律上、実の親子になり、親権は実親から養親へと移ります。日本では社会的養護を必要とする子どもの大半は乳児院や児童養護施設などにとどまっており、里親と一緒に暮らす割合が、オーストラリア(2014〜15年)では91.5%、英国(2015年)および米国(2014年)では75%に対し、日本ではわずか15%と際立って低い点が明らかにされました。2018年10月時点の日本では、生みの親のもとで育つことのできない子どもの数が約46,000人で、そのうち15%が里親家族、85%に当たる約39,000人が乳児院・児童養護施設で暮らし、わずか0.8%が特別養子縁組で家庭に引き取られているという状況です。無国籍ネットワークではこれまで家庭のない無国籍の子どもなどに関する相談はあまり寄せられていませんが、私たちが知らないだけかもしれません。多様化する現代社会において、今後このような課題が出てきても不思議ではありません。今回「NPOみぎわ」さんのお声がけにより始まった交流を通して、救える命は何としても守りたいという松原さんの強い思いが伝わってきます。国籍の有無にかかわらず重要な問題ですが、無国籍者にとっては法制度が壁となって消えている命があるかもしれません。無国籍ネットワークとしてもこのつながりを大切に育み、命を救うお手伝いをしていきたいと思います。

 後半は当ネットワークの運営委員の丁章さんより「ニュージーランドVISA取得顛末記2018」と題したお話がありました。在日コリアン3世、「無国籍の朝鮮籍」である丁さんは、2018年11月30日〜12月4日にかけてニュージーランドで開催された、在日コリアンをテーマにしたシンポジウムに詩人として招聘されました。「無国籍の朝鮮籍」の丁さんは朝鮮民主主義人民共和国のパスポートも大韓民国のパスポートも持っていません。日本が発行する「再入国許可書」を旅券代わりにして日本を出入国しています。これまで中国、台湾、シンガポール、オーストラリアに入国したことがあります。そして、今回初めてのニュージーランド渡航を予定したのですが、出発当日の空港で、発給されたと思っていたビザが下りていないとわかり、予約していた飛行機に乗れなかったという「顛末」のお話でした。特に今回は大学生になったお嬢様とのふたり旅ということもあり、楽しみにされていたニュージーランド訪問でしたが、お嬢様の初海外一人旅という別の形での「顛末」となってしまいました。

今回丁さんにビザが発給されなかったのは、ニュージーランド移民局から送られきた郵便をビザ発給の知らせだと丁さんが誤認したのが原因という形になってしまっていますが、丁さんは、ニュージーランド移民局のメールの伝え方がとても紛らわしいもので、はじめから発給を拒むつもりではなかったのかとの疑いをもっています。ニュージーランドのシンポジウムには朝鮮民主主義人民共和国のパスポートを持った在日朝鮮籍の研究者の方も参加されましたが、その方のビザが下りたのは出発当日だったそうです。丁さんがそれをニュージーランド移民局の嫌がらせではないかと考えているのも不思議ではありません。移民国家として多様な共生社会づくりを率先している寛容な国というイメージがありますが、今回の朝鮮籍者への対応をみると「ニュージーランド、おまえもか」という丁さんの強い思いが伝わってきました。

参加者からは寛容な国というイメージ自体が間違いであって、大陸的な大らかさを有するオーストラリアのあり方と比べてニュージーランドは部外者に対して閉鎖的な側面があるとの意見が出されました。豊かな自然やフレンドリーな対人関係などがニュージーランドの寛容さであると認識してしまうのも無理のないことですが、出入国管理の実務などでは閉鎖的な面があるのかもしれません。また、グローバル化が強まる一方でナショナルレベルでの線引きが強化されているのはニュージーランドだけに見られる傾向とは言い切れません。変動する現代社会の越境について改めて考える機会を与えていただいたお話でした。

(無国籍ネットワーク運営委員 梶村美紀)

2019年3月16日 第14回 すてねとカフェin大阪

第14回 すてねとカフェin大阪

 日時:3月16日(土) 午後3:00 ~5:30 ( 2:30受付開始)

 テーマ1「NPOみぎわについて ~~ 無国籍者の養子縁組の可能性」話者:松原宏樹さん

  このたび無国籍ネットワークは、養子縁組支援の活動をするNPOみぎわと交流することになりました。NPOみぎわの松原理事長をお招きして無国籍者の養子縁組支援についてお話しいただきます。無戸籍者、オーバーステイ、公にできない事情を持つ女性とその子ども達を救いたいという松原さんの、命の尊厳への強い想いをみなさんと共有したいとおもいます。(NPOみぎわHP→http://migiwa.link/

 テーマ2「ニュージーランドビザ申請顚末談」話者:丁章

事実上の無国籍者である丁章は、昨年12月1日~2日にニュージーランド・オークランド大学での在日コリアンをテーマにしたシンポジウムに詩人として参加するため、ニュージーランド(NZ)に渡航する予定でおりました。しかしながら、出発日の関空にて、NZ移民局から発給されたとおもっていたビザが下りていないとわかり、予約していた飛行機にも乗れずに、最終的に渡航できず、シンポにも参加できないという憂き目を被りました。その後に真相究明のためにおこなったNZ移民局とのやり取りなど、このたびのNZビザ申請の顚末について語ります。ノービザでの渡航が当たり前になった現在、その利便さゆえに国境の壁の理不尽さに気づかぬことも多いのではないでしょうか? 国籍や国境についてみなさんと考える機会になればとおもいます。

 

話者松原宏樹(NPOみぎわ理事長)/陳天璽(無国籍ネットワーク代表・早稲田大学教授)/丁章(無国籍ネットワーク運営委員・詩人)/梶村美紀(無国籍ネットワーク運営委員・大阪経済法科大学准教授)その他

 

参加費:1000円(1ドリンク付)要予約

本会のあと、ひきつづき懇親会があります(実費3500円程度)

 

会場:喫茶美術館  東大阪市宝持1-2-18  06-6725-0430 http://www.waneibunkasha.com

〈近鉄奈良線・河内小阪駅下車徒歩13分。JRおおさか東線・JR俊徳道駅徒歩16分。両駅からはタクシー利用(1メーター)が便利です。3月16日よりおおさか東線で新大阪―俊徳道が直通になります

 

無国籍について疑問に思うことや質問したいこと、誰かに聞いてもらいたいことなど、無国籍ネットワークの交流会「すてねとカフェ」に集まって、皆で思う存分語り合いませんか? 無国籍の方も有国籍の方も、ぜひお集まりください!

 

※ ご参加くださる方は、3月14日(木)までに下記までご連絡いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

waneibunkasha@yahoo.co.jp

無国籍ネットワーク すてねとカフェin大阪 運営委員 丁章

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参加をご希望の方は以下の( )に◯を記入して、ご返信ください。

 

本会と懇親会の両方参加(   )

本会のみ参加(   )

懇親会のみ参加(   )

写真展:「われわれは無国籍にされた」—国境のロヒンギャー ”We are made Stateless”: Rohingya on the Border

Stateless Network Youthが主催する写真展 「われわれは無国籍にされた」—国境のロヒンギャー、”We are made Stateless”: Rohingya on the Border
ビルマとバングラデシュの国境地域のバングラデシュ側に逃れたロヒンギャ・ムスリムやビルマ国内で避難しているロヒンギャの状況を写真に収めた二人の写真家の写真を展示します。ギャラリーは14日から21日までです(16日は休みなのでご注意ください)。また、日本に在住するロヒンギャが現地の人に対して行っている支援活動についても紹介させていただきます。

 


The Stateless Network is proud to announce that Stateless Network Youth will be holding a photo exhibition featuring two Japanese photographers who have covered the situation of the Rohingya who have fled across the border with Bangladesh, or who remain internally displaced within the country. The exhibition will be from the 14th until the 21st of December (the gallery will be closed on the 16th). There will also be information on the activities of Rohingya living in Japan who are working to assist those on the border.

 

【二人の写真家のプロフィール】

狩新那 生助(かりにいな しょうすけ)

通信社カメラマンを経てフリーランスに。アジアを中心に難民など困苦の中にある人々の姿を追っている。写真集に「ナフ川の向こうに~バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族~」(柘植書房新社刊)、「クトゥパロンの涙~難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族~」(柘植書房新社刊)がある。
https://ja-jp.facebook.com/shosukekalinina/

 

新畑 克也 Katsuya Shimbata

1979年広島県呉市生まれ。東京都在住。
2010年に初めて訪れたミャンマーに魅了され、同国へ幾度も通い旅先での人々との出逢いを写真に収め始める。2015年より西部ラカイン州で多くの困難を抱えながら生きるロヒンギャの集落や難民キャンプを訪れ彼らの暮らしを見つめ続ける
HP: http://www.katsuyashimbata.com/
FB: https://www.facebook.com/kman57move

場所:

早稲田大学 27号館B1ワセダギャラリー

〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1丁目6−1

1 Chome-6-1 Nishiwaseda, Shinjuku-ku, Tōkyō-to 169-0051

https://goo.gl/maps/fGxeKVimPLE2

参加:無料

無国籍ネットワークセミナー11月17日「一世と二世のあいだ」報告

無国籍ネットワークセミナー11月17日

「一世と二世のあいだ」報告

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

2018年11月17日、早稲田大学にて 連続セミナー第8回「一世と二世のあいだ」を開催しました。2017年から2年間、8回の連続セミナーを開催し、さまざまな無国籍・難民の当事者の方の話を聞き、日本に住むマイノリティーと難民についての理解を深めました。今回はビルマ出身のカチン族のマリップさんと娘さんのセンジャトイさんに、 日本に渡って来た一世と日本で生まれ育った二世、両方の話を聞くことができました。

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

マリップさんはミャンマー政府の迫害を避けるために日本に渡って来ました。カチン族とミャンマー政府の紛争は1961年に始まり、まだ続いています。数千人の一般人が命を失い、10万人以上の避難民が発生しました。[1]日本に来てからもカチンを含めた少数民族への支援を続けていたマリップさんは、2012年、NPO法人PEACEを設立しました。PEACEでは日本語・英語・ミャンマー語の教育とミャンマー国内における国際協力事業に取り組んでいます。「日本に渡ってきた人たちが一番苦労するのが日本語です。それを見て、日本語教室を開きました。PEACEで日本語を学んで、就職したり、日本語能力試験に受かったりします。」とマリップさんは言語教育の重要性を強調しました。そんなマリップさんの姿を見て、娘のセンジャトイさんもPEACEの活動に取り組んでいます。お母さんがいつも周りの人を助けているのを見て、自分も人に役に立てる仕事をしたいと思ったセンジャトイさんは、今大学で国際関係を勉強しています。

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

センジャトイさんは、自分の名前が他の人と違ってカタカナということで、いじめられたことがあります。日本で生まれ育ち、一度も本国のビルマで暮らしたことがないのにも関わらず、外国人のような扱いをされ、一時期「通名」を使っていた時期もあったようです。ところがある日、在日コリアンが植民地時代に民族名を奪われ、通名を使っていたという話を聞き、自分のアイデンティティーにプライドを持ち、本名に戻ることに決めました。「見た目で判断せずに、心を開いて人を接して欲しいです。」センジャトイさんは日本にマイノリティーとして暮らしている人々を代弁しました。

今回のセミナーには、無国籍ネットワーク・ユースのメンバーを含め、たくさんの学生が参加しました。同世代のセンジャトイさんからの話から刺激を受けた学生たちとセンジャトイさんの対話は、休み時間が終わるまで続きました。「今後どういう仕事をしたいのか」の質問に対して、センジャトイさんは「まだ決めてはないが、ビルマにいるカチンの人々の役にたつ仕事をしたい」と答えました。マリップさんもPEACEや他の活動を通じて、日本国内・ビルマ現地の少数民族に出来るだけのサポートをしていきたいと付け加えました。特定非営利活動法人PEACE:https://www.npopeacejapan.com

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

8回の連続セミナーを通して、普段の生活の中だったら出会えないかもしれない難民や無国籍の当事者の本国と日本での経験を

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

聞くことができました。山村先生との対談の形で当事者の人生を振り返り、来日を決めた理由と来日してから苦労した経験、難民申請のプロセスや家族の話など、色んなことを語りました。そこで一番印象的だったのは、難民として来日し生活が苦しかった当事者の方々が、それにも関わらず周りの人を助けようとしたところでした。ずっと難民として認められず、子供が無国籍状態のエルマスさんは、日本語が分からないクルド人のために通訳をしていました。(第3回, 2017年9月30日)そして医療分野の仕事をしているネパール系日本人(親がチベット難民)の塩田ドルジさんは、日本語が分からない患者のため、毎週新宿区のクリニックで英語とチベット語で診療をしていました。(第7回, 2018年11月17日)

 

「難民の背景を持つ人はいつまでも頼り続ける」という偏見を克服し、日本という新しい居場所で暮らしていく方々に出会えたセミナーでした。

 

写真©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

[1] Beech, Hannah. “Inside the Kachin War Against Burma | Time.” Time, November 21, 2014. http://time.com/3598969/kachin-independence-army-kia-burma-myanmar-laiza/.

 

2018年11月17日 無国籍ネットワーク 連続セミナー第8回「一世と二世のあいだ 〜ビルマのカチン族 母センブさんと娘センジャトイさんの語り」

無国籍ネットワークよりイベントのご案内です。

11月17日にトークイベントを行います。

今回のゲストはビルマのカチン族のセンブさんとセンジャトイさんです。

みなさま、ふるってご参加くださいませ。

以下、詳細になります。

 

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【日時】2018年11月17日(土) 15:00〜17:00

【費用】無料

【会場】早稲田大学11号館 709号室

(アクセスマップ>>  https://goo.gl/maps/APSkFS6Wz7t

【懇親会】セミナー終了後に懇親会(参加費1500円程度)を行います。要予約

場所は「ノング インレイ」(http://nong-inlay.com/)です。

 

お申し込みはこちらから↓

https://goo.gl/forms/P8f64SCtmhyX56fT2

 

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連続セミナーについて

アジアでは、たくさんの少数民族が国家のなかに組みこまれ、多民族国家として成立しています。少数民族は国籍が与えられないことがあり、かりに国籍を有していても二級市民あつかいされがちです。日本にも、このような少数民族がくらしています。

ほとんどが難民として日本にのがれて来ましたが、日本政府は難民としてみとめていません。本国と同様、日本においてもまた彼/彼女らに居場所を見つけるのは容易ではなく、少数派、あるいは無国籍者として生きていかざるをえません。とはいっても、逆境をバネにした力強い姿が、彼/彼女らのなかにみいだされます。

連続セミナーでは、本国と日本での経験を話していただきます。少数派の語りをとおして、国籍や民族について共に考え、同時に、普段は気が付かない日本社会の一面や彼/彼女らの活力を感じてみませんか?

2018年9月22日(土)無国籍ネットワーク 連続セミナー第7回「親の文化を伝えたい」

無国籍ネットワークよりイベントのご案内です。

9月22日にトークイベントを行います。

今回のゲストはチベット・ネパール系日本人のドルジさんです。

みなさま、ふるってご参加くださいませ。

以下、詳細になります。

 

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【日時】2018年9月22日(土) 15:00~17:00

【費用】無料

【会場】早稲田大学  11号館 819教室

(アクセスマップ>>  https://goo.gl/maps/APSkFS6Wz7t

【懇親会】セミナー終了後の17:30より懇親会(参加費1500円程度)を行います。

場所はターリー屋西早稲田店(http://thali-ya.com/shop/nisiwaseda.html)です。

 

お申し込みはこちらから↓

https://goo.gl/forms/PgYHZuuNGSzinVKx2

 

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連続セミナーについて

アジアでは、たくさんの少数民族が国家のなかに組みこまれ、多民族国家として成立しています。少数民族は国籍が与えられないことがあり、かりに国籍を有していても二級市民あつかいされがちです。日本にも、このような少数民族がくらしています。

ほとんどが難民として日本にのがれて来ましたが、日本政府は難民としてみとめていません。本国と同様、日本においてもまた彼/彼女らに居場所を見つけるのは容易ではなく、少数派、あるいは無国籍者として生きていかざるをえません。とはいっても、逆境をバネにした力強い姿が、彼/彼女らのなかにみいだされます。

連続セミナーでは、本国と日本での経験を話していただきます。少数派の語りをとおして、国籍や民族について共に考え、同時に、普段は気が付かない日本社会の一面や彼/彼女らの活力を感じてみませんか?

 

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2018年8月4日李節子教授によるセミナー「在日外国人の健康支援:誰一人取り残さない母子保健のために」のレポート

李節子教授によるセミナー「在日外国人の健康支援:誰一人取り残さない母子保健のために」

——-東京、2018年8月、三谷純子(無国籍ネットワーク理事)

 

無国籍ネットワークは、在日外国人の健康支援について、40年間、研究や支援をなさってきた長崎県立大学大学院の李節子教授によるセミナーを、2018年8月4日、東京ボランティア市民活動センターで開催しました。

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「健康に生きる権利は、世界中の誰もが持っている基本的人権です。日本で暮らす外国人にもその権利はあると、私は、40年間、あらゆる機会に、どんな人にも、訴え続けてきました」と李先生は、情熱的に話し始めました。健康への権利は、『WHO憲章』や、いくつもの国際宣言に謳われ、『世界人権規約』、『児童の権利に関する条約』等にも記されています。また、国際社会全体が2030年までの達成を目指して促進中の『持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDG)』にも、全ての人の健康的な生活の確保と福祉の推進や、ジェンダーの平等の下での、性と生殖に関する健康への権利の実現が含まれています。SDGは、「誰ひとり取り残さない」ことを掲げているので、難民や移民、無国籍者も、在留資格の有無に関わりなく、SDGの対象に含まれると考えられます。「グローバル化等の影響により、日本でも、在日外国人が増えていますが、忘れられがちなのは、在外邦人も増加しているという事実です。SDGを達成するには、国籍や法的地位とは無関係に、今ここにいる全ての人の健康への権利を、お互い様という気持ちで、各国で守りあうことが不可欠です」と、李教授は指摘しました。

 

日本で暮らす外国人の保健医療に関しては、言葉の壁、心の壁、制度の壁により、様々な問題が発生しています。特に、在留カードを持っていない非正規滞在の妊産婦とその子どもの健康への権利を、誰がどのように守るのかは大きな課題です。非正規滞在の発覚を恐れ、出産前検診も受けない出産は、時に母子の命に関わります。感染症は、国籍や在留資格とは無関係に拡大します。予防接種をしていない子どもの増加は、本人だけでなく、社会全体のリスクも高めます。しかし、日本語がよくわからず、自国と異なる制度を十分に活用できない外国人は少なくありません。

 

非正規在留者も含めた外国人も、日本の児童福祉法や母子保健法により、母子手帳の交付や、妊婦検診、子どもへの予防接種等は、受けられるはずです。2009年の参議院法務委員会で、在留カードの有無に関わらず、予防接種や就学の案内等の行政上の便益を全ての外国人が引き続き享受できるよう、体制の整備に万全を期すことが決議されています。ところが、非正規在留者が子どものために勇気を出して自治体の窓口を訪れても、在留カードがなく、住民登録がないことを理由に、窓口担当者が、基礎的な母子保健制度の利用を認めないケースが各地で発生しています。また、非正規滞在者の医療費未払いに困った病院が、そのような人の受け入れを拒むこともあります。そこで、親の法的地位や、国籍、経済力により、子どもの健康への権利が大きく損なわれないよう、子どもが暮らしている社会全体で支える必要があります。

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勿論、保健医療の現場では、外国人の健康への権利を守る様々な取り組みもされてきました。セミナーでは、神奈川国際交流財団のご厚意で、当事者や医療関係者向けの多言語の資料が配布され、特定NPO法人シェアの紹介もされました。ただ、現場の取り組みは、広く共有されず、散逸しがちです。解決法も、相談先もわからず、困っている当事者や関係者も少なくありません。李教授が、編集・執筆し、杏林書院から出版されたばかりの『在日外国人の健康支援と医療通訳:誰一人とりのこさないために』という本には、関連する法律や制度の説明と共に、問題解決の事例が豊富に載っています。「この本は、多くの人達が、悪戦苦闘してきた長年の努力の集大成なんです。実際に役に立つ情報をたくさん、簡潔にまとめました。問題解決にも人材育成にも役立つ内容です。日本で暮らす外国人の健康支援体制を構築し、SDGが達成されるように、私も全力を尽くします」と教授は講演を締めくくりました。

 

セミナーには、酷暑の中、保健医療の現場で働く方々、在日外国人の支援の関係者、研究者、報道関係者、無国籍状態の人など、25名が参加しました。「看護師として、現場で外国人にどのように関わっていけばいいのか」という質問に対し、李教授は、「先ず、心を込めてケアをすることです。それから、一人で抱え込まずに、病院のケースワーカーやNPOと連携してください。」と答え、「支援する側は、自分がヒーローになろうとしていないか、かわいそうだからという上からの態度になっていないかに気を付け、当事者の目線に立ち、一緒に解決していくことを忘れないで。」と付け加えました。懇親会でも、参加者の様々な経験の共有が続きました。今後、日本で暮らす外国人が増加するなかで、重要な役割を担う医療通訳を適切な収入を得られる職業として確立する必要性や、行政が経費節約のため外国人対応を省略しないようにする必要性、現場の医療人の外国人対応への知識や能力の向上の必要性、家族形成や出産年齢の人が多い外国人労働者を労働力としてだけでなく、生活の場を共有する人として捉える必要性、当事者や医療関係者、行政、支援団体等が協力して、外国人の健康の権利を確保する体制を構築するための立法や財源の必要性も、話題になりました。

 

無国籍ネットワークのセミナーは、法律やアイデンティティに関する内容が多いのですが、今回の講演で、健康への権利と無国籍の関係について考えるための材料が増えました。

 

  • 李節子先生の新著『在日外国人の健康支援と医療通訳』杏林書院 2018はamazonでは、2700円で9月1日発売予定です。
  • かながわ国際交流財団が発行する多言語の資料は、www.kifjp.orgにあります。
  • シェアは、医療保健を中心とし、命を守る人を育てる活動を国内外で実施している特定非営利活動法人です。 http://share.or.jp/index.html

 

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