【イベントのご案内】2016年10月10日 11th UNHCR難民映画祭 「無国籍〜ワタシの国はどこですか」上映

第11回UNHCR難民映画祭にて、無国籍ネットワーク代表の陳天璽が出演しているドキュメンタリー「無国籍〜ワタシの国はどこですか」が上映されますので、ご案内いたします。

上映後、映画に出演されているグェンティホンハウさんと、代表 陳天璽によるトークを予定しています。

是非お越し下さい!

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無国籍 〜ワタシの国はどこですか

監督:玄真行
制作:NHK、東京ビデオセンター
日本 / 2009年 / 89分 / ドキュメンタリー
言語:日本語

<上映スケジュール>
2016年10月10日(月)19:00開始
<会場>
イタリア文化会館(東京)アクセス

※当日は1時間前より会場にて入場整理券(先着順)が配布されます。

お問い合わせ:映画祭専用フリーダイヤル0120-972-189(平日10時~18時)

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【イベントレポート】2016年7月3日「第2回 無国籍について基礎から学ぶ」無国籍ネットワーク・トークイベント

OLYMPUS DIGITAL CAMERA本年度第2回のトークイベント(2016年7月3日)では、「日本における国会審議に見る無国籍:自由権規約をめぐる議論を通して」、「中央アジア・タジキスタンにおける無国籍問題」と題した発表が行われ、20人が参加しました。

前半は秋山肇運営委員が、日本の国籍法において、無国籍の予防という観点から自由権規約を中心とした国際条約と比較し、国際法が日本の国籍法にどのような影響を与え、ま、過去の国会においてどのような議論がなされていたかを話しました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA後半は元UNHCR職員の小川雅代氏においでいただき、中央アジア、特にタジキスタンにおける無国籍問題についてとても分かりやすく説明していただきました。中央アジアで無国籍になる主な原因は国家継承に寄るものです。旧ソビエト連邦の崩壊後、例えば、タジキスタンとウズベキスタンの国境地域で移動した人々には、法律の衝突、行政手続きの問題、情報の欠如などによって無国籍になってしまった人が多いとのことでした。田舎でも、次第に身分証明を要求されるようになり、子どもの就学にも問題が出てきました。貧しい農村部では、出稼ぎ収入に頼って生活している家族も少なくありません。パスポートは、出稼ぎに行くには、なくてはならない物になっています。無国籍を予防し、既存の無国籍状況を改善するためには、政府が無国籍を決める基準をしっかりと定め、無国籍者の数を先ず把握することが大事だということがわかりました。

出席者へのアンケートでは、法と国籍の関係性の難しさを実感したという感想や、旧ソ連における無国籍者の状況について学ぶことができ、さらに知りたくなったという感想が寄せられました。

 

無国籍ネットワークユース 金 叡珍

無国籍ネットワーク代表 陳天璽の著書『無国籍』の中国語訳が出版されました

無国籍中国語版

無国籍ネットワーク代表 陳天璽の著書「無国籍」が馮秋玉氏によって中国語に翻訳され、台湾の八旗文化から出版されました。 これを記念して、出版発表会や座談会等が7月末8月初旬に誠品信義書店などで盛大に行われ、中廣ラジオ放送、中國時報、風傳媒などからも取材を受けました。
出版社のブログ記事はこちら
風傳媒のインタビュー記事はこちら

 

『無国籍』は、日本語で2005年に新潮社から出版され、2011年には文庫本にもなり、今も読み継がれています。台湾ではビザがなければ入れないといわれ、日本では再入国許可書の期限が切れていたことを失念していたために入国できないといわれ、途方に暮れた陳自身の経験が冒頭に語られています。海外旅行で出入国審査を受けたことのある人なら、誰でも、自分がそうなったらと具体的に想像できるような状況を描くことにより、多くの人が無国籍について身近に感じ、関心を持つきっかけになりました。

 

中国語版が出版されることになったのは、この本を読んで感銘を受けた読者の一人、台湾人の陳思宇氏(台湾大学歴史学博士・内容力運営企画長)の努力によるものです。無国籍者の存在や気持ちを知ってほしいという陳天璽の気持ちが、陳思宇氏を動かし、翻訳により、世界中の膨大な中国語読者にも、無国籍について知ってもらえる機会が増えたのです。中国語版は、日本でも華都飯店で入手することができます。

 

この本には、何故両親が無国籍になることを選ばざるを得なかったのかという歴史的な背景、中華街で育ち、アメリカに留学し、研究者として就職し、日本へ帰化する間に経験した無国籍であったために生じた出来事、更に、調査で出会った様々な無国籍の人々についても生き生きと描かれています。国が帰属やアイデンティティを決定し、何々人と人々を分類することを当然とする国民国家体制の中で、何人とも認められないことに寄る辺のなさを感じ、私は何人かという問いに悩む無国籍者の気持ちが語られます。その気持ちは、理由は全く異なっても、本当の自分は誰なのかという疑問を感じたことのある多くの人にとって、どこか共感できる面もあります。この本は、アイデンティティは一元的なものではないことに気づき、家族や周囲の人たちに囲まれ、愛着のある場所で、自分自身として生きることに自信を得ていく、一人の若い女性の成長の物語としても読むことができます。

 

「自分のことを書くなんて、本当は嫌だったけれど、皆に無国籍を知ってもらえてよかった」と語る著者による、台湾読者の反応、10年間の変化等についてのトークイベントを開催する予定です。予定が決まり次第ご案内いたします。

 

(2016年8月9日 三谷純子 無国籍ネットワーク理事)

雑誌ウィラーン(We Learn)7月号で無国籍ネットワークが紹介されました

公益財団法人日本女性学習財団の月刊誌ウイラーン(We Learn)、2016年7月号で、無国籍ネットワークとユースの活動について紹介していただきました。この雑誌は、1952年に始まり、既に754号を数え、毎号、様々な団体の活動を紹介しています。記事は、「国籍の有無にかかわらず幸せにくらすために活動を続けていく」という題名で、無国籍ネットワークの理事・運営委員の三谷純子が執筆しました。
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無国籍者も応募できるUNHCRの大学進学奨学金、今年も募集開始!

無国籍者も応募できるUNHCRの大学進学奨学金の募集が、今年も始まりました。
以下、UNHCRからのお知らせを転載致します。

ご興味がある方がいらっしゃいましたら、是非ご案内ください。

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【ウェブサイト】
日本語:http://rhep.japanforunhcr.org/
English:http://rhep.japanforunhcr.org/en/

【公募期間】
開始: 2017年7月7日
締め切り: 2016年8月5日

【本事業に関してのお問い合わせ先】
国連UNHCR協会 難民高等教育事業担当 泉田 03-3499-2450
UNHCR駐日事務所 法務部 南川 03-3499-2075

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【イベントレポート】2016年6月29日「第1回 無国籍について基礎から学ぶ」無国籍ネットワーク・トークイベント

今年、無国籍ネットワーク運営委員会は数名の新しいメンバーを迎えました。また、早稲田大学の学生を中心に2年前に設立された無国籍ネットワークユースの活躍の場も広がっています。そこで、基礎から無国籍についてしっかり学ぶため、ご関心のある皆さまにもご参加いただき、トークイベントを開催していくことにしました。

本年度第1回目(2016年6月29日)は「無国籍と国籍法」、「日本における無国籍少数民族ロヒンギャの実態」の二つをテーマに取り上げました。平日夜にもかかわらず、18名が早稲田大学に集まりました。

 

「無国籍と国際法」では、無国籍ネットワークの運営委員に就任したばかりの秋山肇が、国際法と国内法の違い、条約と慣習法の違い、という基礎から説明を始めました。更に、無国籍の定義や、二つの無国籍に関する国際条約の特徴について詳しく解説し、それから無国籍に関係する他の国際条約や国連高等弁務官事務所の役割について簡単に触れると、35分はあっという間に過ぎました。質問が次々にでました。「無国籍者の地位に関する条約」で定められている権利が定着の度合いにより異なるという説明に対し、その定着の度合いの基準とは何か。国家にとって無国籍に関する国際条約を締結するメリットとは。質問への答えを含め、詳しい情報は、秋山が調査を手伝い、翻訳も担当した新垣修著『無国籍条約と日本の国内法』にも記されていますが、難しいと敬遠しがちな法律の要点をわかりやすく解説してもらい、皆、確かな一歩を踏み出せたようです。

 

休憩後、「日本における無国籍少数民族ロヒンギャの実態」について、池辺利奈から、群馬県館林でのインタビュー調査に基づく報告を聞きました。池辺は、2015年から無国籍ネットワークの運営委員として会員管理を担当しています。池辺の報告は、無国籍であることや、ロヒンギャであること、日本での暮らし等についての当事者の見解に焦点を当てたものです。極限られた人数を対象にした予備調査の結果なので、一般化はできませんが、ミャンマーを出る前には、ロヒンギャであることを隠し、恥ずかしく思っていた人が、国境を渡り、自分たちの状況への理解を深め、ロヒンギャであることに誇りを持つようになったという変化や、子どもたちへのロヒンギャの文化継承への努力と日本社会適応への積極的な姿勢、また、彼らが抱える問題等が説明されました。調査手法や、子どもの服装や食べ物等についての質問が続きました。仮放免についての質問には、参加者の方が、ご自身の支援経験をシェアしてくださいました。

 

出席者へのアンケートでは、「日本でも理解を深めていくことが大事だ」等の感想が寄せられました。無国籍ネットワークは、国際社会や国家の定めた枠組みの中での法的支援と共に、アイデンティティや帰化等に悩む人の心に寄り添い、法律だけでは解決できない当事者の気持ちも大切にしています。無国籍について様々な視点から学ぶトークイベントを今後も実施していきます。

 

三谷純子(無国籍ネットワーク理事)東京、2016年7月6日

グレッグ・コンスタンティン氏講演:立教大学社会学部 2016年5月30日

rikkyo1 「小さな両手に握られた、1冊のノート。この写真は、今日わたしが皆さんにお見せする全ての写真の中で、もっとも重要な1枚です」――その不思議な言葉に、誰もが首を傾げました。砂漠地帯を歩く、見るからに極貧に打ちひしがれた女性の写真。暗い部屋のなか、僅かに差し込む日光に照らし出される虚ろな眼差し…。これまで映し出された写真は、そのどれもが生きる希望を奪われ、「生きながらにして亡霊と同じ存在」である無国籍者の生き様を、これでもかと訴えかけていたからです。

一息ついて、先生は説明を始めました。「この小さな両手の持ち主である少年は、家の奥から粗末なノートを持ちだしてきて、最後の1ページをめくって、私に見せたのです。一生懸命に。そこには--そう、この写真に写されているページです。その少年の父親が亡くなる直前、最後の気力を振り絞って書いた、全ての彼の子どもたちの名前と生年月日が書いてありました。父親が書き残したこの手書きの名前と生年月日のリストだけが、この少年とその兄弟が持っている、唯一の生まれてきた証なのです。これ以外には何ひとつ、この世の中に身分証明を持たない子どもたちに、父親が残した唯一の宝物が、このノートなのでした。」

Constantine先生の講演は、ただ画像があるからというだけでなく、ひとつの画像が現れるたびに、まずその背景にある個人的な無国籍者としての経験が語られました。そして次に、なぜそうした経験をしなければならない人が生まれたのかという、地域的・歴史的な文脈が説明されました。そして最後に、なぜConstantine先生がその写真を撮ったのか、その意図が述べられるのです。最初から最後まで、プロジェクターに写真が1枚現れるごとに、教室全体の沈黙が深くなっていく講演でした。

ご講演の最後には、とても時間が足りないほど多くの質問が出ました。聴き手の我々にとって、いちばん印象的だったのは、「どうして先生の写真は、いつも白黒写真なのですか」という学生からの質問に対する先生の答えだったかもしれません。「今の時代、カラーの写真は便利にいくらでも取ることができるけれど。人々の印象に残るのは、昔ながらの、シンプルな白黒写真だと思うから」。もしかすると先生自身の生き様が、その言葉に重なるのかもしれません。インターネットで情報を何でも得られる便利な時代と人々が言う今このときに、世界の各地に足を運び、人々と会話して、自分の目と耳と心で理解しようと努力している、その姿に。

rikkyo2 そして最後に。Statelesss Network YouthのTimさん、Maryさんのお2人の通訳がなければ、この講演会は成功しませんでした。お2人とも--とくに昼食も抜きで大活躍してくれたTimさん、どうもありがとうございました。

石井 香世子 立教大学社会学部准教授

【追加情報】2016年7月3日 すてねとゼミ in 東京

◆◆ 元UNHCR保護官による「タジキスタンにおける無国籍問題」の報告 ◆◆

タジキスタンでのUNHCR勤務を終え、帰国したばかりの小川雅代さんが、既にご案内した7月3日の無国籍ネットワークのゼミで、「タジキスタンにおける無国籍問題」について報告してくださることが急遽決定しました。

知る機会の少ない中央アジアの現場の話を聞く貴重な機会です。ぜひ、ご参加ください。

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【報告内容】
「中央アジア・タジキスタンにおける無国籍問題」
世界には無国籍者が1,000万人以上いると報告されていますが、中央アジアも例外ではありません。現在中央アジアには、無国籍者が10万人いるとされています。日本ではあまり馴染みのない地域、中央アジアの最貧国、タジキスタンで無国籍者はどのような立場に置かれているのか、現地政府、国連機関、NGO団体が共同して、問題解決にどのように取り組んでいるか、まとめてみたいと思います。

【報告者】
小川 雅代氏
元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) タジキスタン事務所 保護官(無国籍担当)
国際機関にて、アフリカ・アジア諸国で、難民保護・無国籍問題に従事。立教大学法学部国際・比較法学科卒業。米ジョージタウン大学国際関係大学院修了。現在、英オックスフォード大学国際人権法修士課程に在籍中。

【日 時】2016年7月3日(日)15:00〜16:00 (秋山氏に続き発表)

【会 場】早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館5階504号室

【会 費】無料 (懇親会参加の方は、別途。)

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※ゼミ参加・懇親会参加について、

officer[at]stateless-network.com までメールにてお知らせください。 

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