無国籍ネットワークユース写真展2019年報告書

写真展2019年報告書

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写真展責任者:早稲田大学政治経済学部政治学科2年 倉田怜於

1.はじめに

(文責:倉田)

昨年末、私たち無国籍ネットワークユース(以下SNY)は、NPO法人無国籍ネットワークとの共催で写真展「Us」及び講演会を開催しました。写真展の開催期間は2019年12月10日〜17日の計7日間(15日は休館)、場所は早稲田大学ワセダギャラリー(27号館地下1階)にて、講演会は14日14:00〜16:00に早稲田大学3号館502教室にて実施しました。

写真展は2016年、2018年にも実施しており、SNYの一年の活動の中でも重要な活動の一つとなっております。今年も2019 年9月末ごろから準備を始め、展示する写真の決定や開催施設を確保、学内外での広報など開催に向けての計画を進めてまいりました。さらに、これまでにない初めての試みとして講演会を実施し、これまでご縁のあった数多くの方々の中から特に講演していただきたい方をこちらでお選びし、協議の末2名の方に登壇していただく運びとなりました。

そしてその準備が功を奏してか、写真展・講演会ともに本当にたくさんの方にご来場いただき、盛況の中、最終日を迎えることができました。具体的な数字は次章以降に掲載しますが、写真展への来場者数は7日間で合計200名を超え、講演会にも70名以上の参加者がいらっしゃいました。

「無国籍者」の認知度向上を第一目標として掲げている弊団体にとって、多くの方々に足をお運びいただき、写真をみて心で何かを感じたり、話を聞いて自分なりに意見を持ったりといった機会に触れていただけることは大きな喜びです。今回の運営の中で至らない点は多々あったと思いますが、いただいたご意見や激励の言葉を糧に、ご来場いただいたみなさま一人ひとりにとって有益な場を提供できるような活動をこれからも続けてまいりたいと思います。今後とも末長くよろしくお願い申し上げます。

以下では、写真展「Us」、講演会、広報活動に関しての報告を掲載します。お読みいただければ幸いです。なお、本件に関しましてご意見やご不明な点がございましたら、stateless.youth@gmail.comまでご連絡ください。(返信までお時間をいただく場合がございます。あらかじめご了承ください。)

 

2.写真展「Us」について

(文責:倉田)

昨年の写真展ではプロの写真家の方2名の写真を展示いたしましたが、本年の写真展では現役大学生2名の写真を展示しました。ただし被写体は本年も世界最大の無国籍者の集団とされているロヒンギャであり、今年は現役大学生らしく写真のメッセージ性やこだわりを前面に出した展示を目指しました。彼らの取材力や行動力はかねてから聞き及んでおり感銘を受けていたためご依頼したわけですが、大学生の活動家にとって取材したことを形として世に出すことは難しく、そのお手伝いをしていただいた面もあります。

そしてその2名は、城内ジョースケさんと鶴颯人さんです。城内さんは早稲田大学の4年生であり、2018年3月にロヒンギャの人々と出会ったことをきっかけにその時に感じたという不条理への疑問から何度も現地を訪れて取材などを行っている方です。鶴さんは立命館大学の3年生で、今回は京都からわざわざお越しいただきました。2018年春にミャンマーにあるロヒンギャの村を訪問したことを機

にロヒンギャ問題の取材を始め、インターネット記事を書くなど執筆活動も行っている方です。お二人はそれぞれの取材で訪れていたミャンマーで連絡を取って会うほどの仲だそうで、準備の段階でも仲のいいお二人だからこそ為し得るお互いのこだわりの詰まった展示方法を話し合っていただけたため、主催者側としても安心して仕事をご一緒することができました。

展示した写真について簡単にご紹介します。ロヒンギャはミャンマー・バングラディシュを中心に世界各地に分布しているのですが、今回はお二人がそれぞれ訪れたことのあるミャンマーのミャウーとシットウェーやバングラデシュのクトゥパロン、バルカリの各難民キャンプ、マレーシアと日本のロヒンギャコミュニティで撮影された写真を展示しました。どの写真も現地の方とのコミュニケーションなしには撮影できないような臨場感あふれるものばかりですが、ミャンマーの写真は現在は政情が不安定なため入ることすら困難な国内避難民キャンプで撮られたもので本当に貴重な写真が並びました。

写真展のタイトルは「Us」でした。「難民」はただ「かわいそうな人々」か、異なる境遇の人々を他者化していないだろうか、という写真家の方々の思いを「Us(私たち)」という題名に込めました。さらにこの気持ちを実際に形として表現しようと、いくつかの工夫を施しました。1つ目はキャプションをあえて目に見える形で展示しないという工夫です。題名や撮影者の名前と場所という最低限の情報のみを掲載し、具体的な写真の説明は展示しませんでした。写真展や美術館・博物館にいらっしゃる方の多くは展示物の脇にあるキャプションを手がかりにそのものを理解し解釈しようとするのではないでしょうか。音声ガイドというツールが衰退せず、むしろ有名アナウンサーなどを起用する投資のされ方は需要の高さを物語っているように思います。しかしこのプロセスでは先に与えられた情報の中でしか解釈ができず、自分で自由に見ること、自由に解釈することを放棄してしまっている可能性があります。私たちもロヒンギャ問題という理解が難しいテーマを扱っているからこそ先入観を排除した状態で写真を見ていただき、目の前の写真から何を感じ、何を思ったかを大事にしていただきたいと考え、文字でのキャプションの展示を行いませんでした。ただ、その写真をとった人がどのような気持ちを込めたかを伝えたい面も一方であります。そこで写真家2名の提案で「QRコード」を代わりに展示し、それを読み取ることで込められた思いやその写真の文脈をインターネット上で読むことができるようにしました。インターネット内で読めるため、展示しきれなかった関連する写真や写真の中の人物が話していたことなど惜しみなく掲載していただきました。写真展から出た後も、ふとある写真が思い出されたときは自分のスマートフォン上で閲覧履歴から思い返せることも狙いの一つであります。

先ほど来場者の方に自分で自由に見て考えていただきたいという意図を説明しましたが、私たちとしては実際どのようなことを考えられたのか気になるところでもあります。またパッと思いついた事柄を文字化することで自分の考えとしてより昇華できるというのも事実で、来場者の方々にその場を提供しようと考えました。そこで誕生したのが、みんなが写真展の感想を自由に書けるコーナーでした。これが2つ目の工夫です。コーナーの近くに付箋紙を用意し、写真展に来て感じたことを自由に書いていただくだけの場です。正直、どれくらいの方に書いていただけるだろうかと不安でしたが、69名もの方の意見をいただくことができました。寄せられた意見には実に様々な感想が見られ、QRコード方式で展示してよかったと実感できる結果でした。

そのほか、そもそもロヒンギャ問題とは何か、そして私たちが活動の主眼としている「無国籍」とは何かがわかるようなリーフレットを作成し入り口で来ていただいた方全員にお渡ししました。このリーフレットも各方面の方から好評をいただき、現在NPO法人無国籍ネットワークのHP上に掲載することを検討している段階です。

最後になりますが、各日程でお越しいただいた方の数を以下にまとめます。本当に多くの方に来ていただき写真を見て思考を巡らせていただけたことに感謝すると同時に、この数字を活動への応援と捉えこれからの活動に邁進していくことをお約束して本章を締め括ります。

[Table]

3.講演会について

(写真)左から根本教授、ゾーさん、SNY髙橋
 (写真)左から根本教授、ゾーさん、SNY髙橋

(文責:髙橋)

3.1 開催の経緯

無国籍ネットワークユース(以下SNY)がこれまで開催してきた写真展では、多くの方々に問題を知ってもらうことができたと考えています。しかしながら、せっかく興味を持って来ていただいたのに写真展会場への数分の滞在で終わらせてしまうのはもったいないのではないかという反省がありました。これまでの企画の背景には、社会的に関心の薄い無国籍の問題に触れ、身近に感じてもらうためにはどのような方法が効果的なのかという問題意識がありました。そこで、気軽に足を運びやすく、また写真という視覚的な情報を通じて学生から社会人まで広範な対象にメッセージを届けることが期待できる企画として写真展を開催していました。しかし、無国籍やロヒンギャの問題は極めて複雑な構造をしており、写真展では伝えきれないことが多分にあります。そのため、今年度は写真展の期間に合わせて、より深く学ぶ機会として、ロヒンギャ問題の専門家お二人による講演会の開催を決定しました。

3.2 講演者の紹介

無国籍やロヒンギャの問題についての専門家は国内にはそれほど多くありませんが、この道の第一人者とも呼ぶべきお二人が講演を快くお引き受けくださいました。上智大学総合グローバル学部教授の根本敬教授と在日ビルマロヒンギャ協会のゾーミントゥ(Zaw Min Htut)さんです。根本先生は、ビルマの近現代史研究を専門にされており、ロヒンギャ問題の歴史的経緯について各所で研究成果を発表されています。講演テーマは「ロヒンギャ問題の歴史的背景をたどる」でした。ゾーミントゥさんは2002年にロヒンギャとして日本で初めて難民認定されるという経歴を持ち、現在まで国内外のロヒンギャの状況改善に取り組んでこられました。講演テーマは「国内外のロヒンギャ難民の状況〜無国籍の視座から〜」でした。

3.3 講演会当日

席が埋まるかという不安がありましたが、広報に力をいれたこともあってか、当日は予想をはるかに超える人数(約70名)の方にご来場いただきました。特に大学生など若い参加者が多かったことは、無国籍・ロヒンギャ問題の長期的な解決を見据えて幅広い層の方に知ってもらおうという本企画の趣旨からはとても喜ばしいことでした。

当日はまず、根本先生にロヒンギャ問題の歴史的背景をお話いただき、少しの休憩を挟んだ後、当事者であるゾーさんに自身の実体験も交えた貴重なお話をしていただきました。その後行った来場者からの質疑応答も含め、実りある学びの場を提供することができたと思います。

3.4 来場者からのご意見

当日は来場者全員にアンケート用紙を配布し、計29名からの回答を得ました。回答内容について以下簡単にまとめます。まず、講演会全体の感想について、「1. 大変良かった」、「2. 良かった」、「3. あまり良くなかった」、「4. 良くなかった」の4段階で質問し、1.と答えた方が21名、2.と答えた方が8名でした。高評価について、二人の後援者にお話しいただく2部構成を理由に挙げている方が多く見受けられました。具体的には、専門的な知見を得た上で当事者の話を聞くことができた、また知識のない状態からも一から学ぶことができた、などというご意見をいただきました。

3.5 総括

今回の講演会は私たちにとって初めての試みでしたが、講演者お二人、そして他のSNYメンバーの協力に支えられ、大変多くの方にご来場いただき、また関心を持っていただくことができたと考えています。今後もこの問題について学びたいので、引き続き活動をしてほしい、この他の問題にも取り組んでほしいなど、大変励みになるご感想をいただきました。私たちSNYは、今年度の講演会開催の経験を活かし、無国籍問題の解決のために、さらなる活動の場を探求し切り開いていくことを目指します。

4. 広報活動について

学内掲示用ポスター
学内掲示用ポスター
立て看板用ポスター
立て看板用ポスター

(文責:北村、編集:倉田)

今回の写真展・講演会開催にあたっては主に以下の媒体を通して広報活動を実施しました。つきましては関係者各位、協力していただいた方々にこの場を借りて御礼申し上げます。

  • 大学内立て看板(協力:早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター)
  • 大学内掲示ポスター(カラー版、白黒版)
  • 早稲田大学27号館ショーウィンドウでの展示・掲示(写真提供:狩新那生助さん)
  • 大学内置きビラ
  • SNY公式インスタグラム
  • SNY公式Facebook
  • 授業に出向いて宣伝活動
  • NPO法人無国籍ネットワークを介してのメールマガジンやメーリングリストでの広報
  • これまでに関わりのあった方々へのメール

ポスターデザインは、今回展示をする写真家2名にそれぞれの思う印象的な写真を提供していただきそれらを大々的に扱いつつ、シンプルでインパクトのある仕上がりにしました(下図参照)。その結果、特に学内立て看板が印象的で来場してくださった方も少なくありませんでした。また我々が一部の来場者を対象に行ったアンケートで、授業での宣伝で来てくださった方が多いことが判明しており、活動やエピソードを直接伝えることの重要性を実感しました。貴重な授業の時間を割いて宣伝に協力していただいた各先生方に改めて感謝いたします。

5. メンバーからの感想

早稲田大学1年 小川いぶき

写真展「Us」。展示しているのは主にロヒンギャの写真であるのに、なぜ題名が「私たち」を意味する「Us」なのだろうと感じた人も少なくないと思います。しかし、この名前に隠された理由は展示されている全ての写真を見た帰路の途中で、じわじわと感じられたのではないでしょうか。この写真展では写真の下部にある従来の脚注ではなく、QRコードを読み取って一枚一枚の写真の実情を読み取ってもらうという、新しいスタイルを開拓しています。学生にもっとロヒンギャを身近に感じて欲しいという趣旨に沿っているし、実際にスマートフォンを片手に写真を眺める学生たちは画像と文字で情報を得ることで、より鮮明にそこに広がる過酷な難民たちの状況を理解することができたと思います。国籍を持っている「私たち」の生活は当たり前ではないこと、そしてそんな「私たち」が彼らに何ができるのか、一人でも多くの学生に考えてもらえていたら嬉しいです。

早稲田大学1年 栗本紗綾香

今回の写真展が、私にとって写真展の準備や運営に携わる初めての機会でした。その中で様々なことを学ぶことができたと思っています。まず、今回の写真展の写真を撮っていらっしゃる写真家のお二方から沢山お話を伺うことができました。私と同じ大学生が、無国籍の問題を抱えている地域へ行き写真家として活動しているということから、私とは次元が違う方なのだろうと思っていました。しかし、お話ししてみて、ちょっとしたきっかけからこのような活動をされていることが分かり、お二方の行動力や情熱に感銘を受けると同時に、私でも何か無国籍を知ってもらうためにできることがもっとあるのではないかと思いました。そして、写真の背景を詳しく知ったことでより無国籍について深く考えることができました。写真の人物へのインタビューによって、一言で無国籍者と括るのではなく、彼らにも私たちと同じように辛いことや幸せなことがあるのだということを知りました。支援する側は、一人一人の事情や生活にもっと目を向けて行かなくてはならないのではないかと感じました。自分とは関係のないもの、と感じてしまいがちな問題ではありますが、今回の写真展を通じて実感できたのではないかと思います。

早稲田大学1年 原尻伊織

我々は机上の空論をしがちだ。新聞やテレビ、学校の授業で「難民」「無国籍」という言葉を耳にする。UNHCRの論文や様々な文献を読む。難民について“知る“。

写真展を開催して、私たちが”知っている”と思っていたことが本当の意味での「知る」ではなかったことに気づかされた。現場について何も知らないのである。

私たちはどこか「難民って大変そうだよね」「無国籍って大変そうだよね」と彼らのことを無意識に下に見る。私たちには関係ない話だけど、そういう環境に置かれている人がいることは知っている、くらいに思っているかもしれない。何故そう考えてしまうのだろう。それは”知る”ことしかしてないからだ。

写真展に展示されている写真をみると、ロヒンギャで起こっている出来事に対する認識が「難民」の物語ではなく、写真の中にいる1人1人の人間、私たちと同じ時代に生まれた同じ人間が、生まれた場所が違うというだけで苦しんでいる物語へと変わる。

それが本当の意味での「知る」ではないだろうか。はじめは”知る”から何事も始まる。私たち学生は”知る”のまま、踏み止まりがちだ。”知る”から「知る」になるには、現場を見ることが大切である。写真展での写真は現場そのものを写し出す。自分たちは、現場に行くことは難しいかもしれない。しかし写真で現場を感じられるのなら感じていきたい。「知って」いきたいと思うのだ。

新大久保で1月25日土曜日に多文化社会研究会で開催、三谷純子先生(無国籍ネットワーク理事)による講演 無国籍の研究と教育に関するアジア地域会議の報告―日本の主要大学シラバスにおける無国籍の可視性の調査結果を中心に

1月25日土曜日、新大久保で開催される多文化共創フォーラムで9月に開催された無国籍の研究と教育に関するアジア地域会議について無国籍ネットワーク理事の三谷純子が報告します。ご関心のある方は、1月17日までに、多文化研究会へお申し込みください。

 

◆講演3:無国籍の研究と教育に関するアジア地域会議

三谷純子
三谷純子

の報告―日本の主要大学シラバスにおける無国籍の可視性の調査結果を中心に

無国籍の研究と教育に関し、アジア地域での協力の促進を目指す会議が、UNHCR、シドニーのピーターマクムリンセンター、バンコクのチュランコン大学の共催で2019年9月にバンコクで開催されました。この会議に参加し、日本の24の大学のシラバスをいくつかのキーワードで比較検索し、多文化社会研究会や無国籍ネットワークの会員から頂いたコメントも加えて発表しました。無国籍は、24大学中16大学のシラバスに登場しません。調査結果と会議での反応、会議の結論の概要を報告します。無国籍への理解を広げるために私たちができることを一緒に考えていきたいです。

 

 

 

 講演者:三谷純子(東京医科歯科大学・早稲田大学非常勤講師。東京大学大学院博士課程。無国籍ネットワーク理事。元UNICEF広報官、元UNHCR第3国定住官。多文化研会員)

*閉会の辞(17:00) 阿部治子

バンコクでの会議にて(2019年)
バンコクでの会議にて(2019年)

*フォーラム終了後、懇親会を予定

「フォーラム」および「懇親会」に参加をご希望される方は、【1月17日(金)】までにお申し込みください。

○参加申し込み先:阿部治子(多文化研事務局)

ab.haruko[@]gmail.com ※[@]を@に変えて送信してください。

[お問い合わせ]多文化社会研究会 https://tabunkaken.com/

 

●第162回多文化共創フォーラム21のご案内(別添のご案内参照)
「統計データで読み解く多文化共創社会」

昨年は、専門分野が異なる参加者が集い、グローバルな視座と経済学的アプローチで統計データを読み解きながら移民政策を考えるフォーラムを展開しました。
2020年初回はアンケート調査の集計や統計データをいかに読み解いていくか、分析結果から問題解決に向けて示唆的な議論を展開したいと思います。
論理・数学的なことは苦手と思い込んでいた学生さんにとっても、情報分析が得意となる転機です。

主催:多文化社会研究会
日時:2020年1月25日14時~17時(13時30分開場)
会場:カイ日本語スクール本校(新大久保駅徒歩3分)http://www.kaij.jp/location/
会費:当研究会会員・学生は無料、それ以外は1000円
締切:【1月17日(金)】までにお申し込みください。
*申込先:阿部治子(多文化研事務局)
ab.haruko[@]gmail.com ※[@]を@に変えて送信してください。

*配布資料1:川村・万城目「外国人集住都市会議群馬・静岡ブロック調査報告書」
*配布資料2:UNHCR, the Peter McMullin Centre on Statelessness and the Social Research Institute of Chulalongkorn University.“Researching and Understanding Statelessness in Southeast Asia:The Role of Academic Research and Education.” Bangkok, 25-26 September 2019
*参考文献:川村・郭・貫・原著『統計データで読み解く 移動する人々と日本社会-ライフサイクルの視点から情報分析を学ぶ』ナカニシヤ出版2013
*新刊紹介:芹澤健介『となりの外国人』マイナビ新書2019年12月
*総合司会:大野勝也(日本大学大学院文学研究科社会学専攻博士前期課程)
*開会挨拶:茅野礼子(作家。女性史研究家。多文化研会員)

◆基調講演:外国人住民の高齢化に関する調査結果と分析からの実証的研究

日本における在留外国人数は、273万1093人(2018年12月)、その中で65歳以上の外国人の総数は、17万5789人、6.6%となっています。
統計データに着目すると外国人集住都市会議会員都市においても高齢化率は増加しています。
群馬・静岡ブロックでは外国人住民を対象としたアンケート調査を実施しました。
膨大なデータを集計・クロス集計分析し、外国籍住民の高齢化の課題を発見し、解決の道を議論しましょう。
非正規雇用で働いている方が45.8%で、介護保険について75.6%の人がわからないと答えています。

講演者:万城目正雄(東海大学教養学部人間環境学科准教授。多文化研理事。専門:国際経済学)
コメンテーター:貫 真英(城西大学経済学部准教授。多文化研理事)
コメンテーター:二文字屋修(予定)(NPO法人AHPネットワークス執行役員)

◆講演2:なぜ「やさしい日本語」が必要なのか―自治体職員研修から見えること

「やさしい日本語」が一般に知られるようになり、自治体も外国人住民対応の改善のため地道に努力をしています。
2011年から神奈川県内で自治体職員対象に80回余り実施してきた「やさしい日本語」研修経験をもとに、現場での受容をめぐって課題を共有しましょう。

講演者:坂内泰子(神奈川県立国際言語文化アカデミア教授。多文化研理事)
経歴:カリフォルニア大学客員研究員、国文学研究資料館共同研究員、実践女子大学、成蹊大学、東京大学文学部非常勤講師。2003年神奈川県立外語短期大学に着任。『つながるにほんご―かながわでともにくらす』(共著2012)、教材『つながるにほんご別冊活動ガイド』(共著2014)、教材『やさしいにほんごでつながるコミュニケーション・シート』(共著2018)など多数。

◆講演3:無国籍の研究と教育に関するアジア地域会議の報告―日本の主要大学シラバスにおける無国籍の可視性の調査結果を中心に

無国籍の研究と教育に関し、アジア地域での協力の促進を目指す会議が、UNHCR、シドニーのピーターマクムリンセンター、バンコクのチュランコン大学の共催で2019年9月にバンコクで開催されました。
この会議に参加し、日本の24の大学のシラバスをいくつかのキーワードで比較検索し、多文化社会研究会や無国籍ネットワークの会員から頂いたコメントも加えて発表しました。
無国籍は、24大学中16大学のシラバスに登場しません。調査結果と会議での反応、会議の結論の概要を報告します。
無国籍への理解を広げるために私たちができることを一緒に考えていきたいです。

講演者:三谷純子(東京医科歯科大学・早稲田大学非常勤講師。東京大学大学院博士課程。無国籍ネットワーク理事。元UNICEF広報官、元UNHCR第3国定住官。多文化研会員)

*閉会(17:00)
*フォーラム終了後、懇親会を予定
「フォーラム」および「懇親会」に参加をご希望される方は、【1月17日(金)】までにお申し込みください。
○参加申し込み先:阿部治子(多文化研事務局)
ab.haruko[@]gmail.com ※[@]を@に変えて送信してください。
〇問い合わせ先:阿部治子(多文化研事務局)
080-4439-7559(直通)

 

 

「『われわれは無国籍にされた』— 国境のロヒンギャ —」 写真展 (国際開発学会&人間の安全保障学会2019共催大会で開催)

今年の東京大学駒場キャンパスで開催される国際開発学会&人間の安全保障学会2019共催大会のサイドイベントとして、在日ビルマ・ロヒンギャ協会、無国籍ネットワーク、無国籍ネットワークユースの巡回写真展「『われわれは無国籍にされた』— 国境のロヒンギャ —」を開催します。難民の問題も主要なテーマとして扱われる学会で、国境地域にある難民キャンプに暮らすロヒンギャ難民の姿を映し出した作品を展示します。

場所:東京大学駒場Ⅰキャンパス

 ( 東京都目黒区駒場3丁目8−1)KOMCEEast B1Fホワイエ

会期:2019年11月16日(土)~17日(日)
時間: 2019年11月16日(土)9:00~18:15
    2019年11月17日(日)8:30~17:40
共催:HSF(人間の安全フォーラム)、BRAJ(在日ロヒンギャ協会)、無国籍ネットワーク、無国籍ネットワークユース

後援:東京大学大学院総合文化研究科グローバル地域研究機構・持続的平和研究センター(RCSP)、東京大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム(HSP) 公式HP:https://stateless-network.com/?p=2180

学会自体は入場料がかかりますが、このサイドイベントは入場料はかかりません。

写真家とロヒンギャの方によるトークセッションのスケジュール

11月16日(土)
11時15分~35分;トーク➀
13時20分~40分;トーク➁
17時40分~18時;トーク➂
 
11月17日(日)
10時15分~35分;トーク➀ 
11時15分~45分;トーク②
13時00分~13時20分;トーク③
16時30分~16時50分;トーク④

写真展の企画について

本企画は、無国籍者を支援する特定非営利活動法人・無国籍ネットワークが早稲田大学(2018年12月)、群馬県館林市(2019年6月)において開催した写真展「『われわれは無国籍にされた』―国境のロヒンギャ」(写真:狩新那生助氏・新畑克也氏)の巡回展を、人間の安全保障学会学生部会・上記無国籍ネットワーク・在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)・特定非営利活動法人「人間の安全保障」フォーラム(HSF)の共催により、本共催大会のサイドイベントとして開催するものである。なお、本企画は持続的平和研究センター(RCSP)の後援を受ける。

本企画の目的は、来場者に、現在バングラデシュなど国外の難民キャンプやビルマ(ミャンマー)の国内避難民キャンプで、悲惨な状況に置かれているロヒンギャの現状を伝えること、そして当該問題に関心がある様々な人々の間に交流の機会を創出することであり、写真の展示に加えてBRAJのメンバーや狩新那氏・新畑氏を招いたトークセッションを設けている(トークセッションのタイムテーブルについては、大会プログラムに記載)。さらに、パンフレットの配布やパネルの設置を通して、BRAJ・無国籍ネットワーク・HSF、各団体の活動について紹介する。

周知のように、ロヒンギャは主にビルマ(ミャンマー)西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族であり、軍事政権により国籍を奪われて以降無国籍の状態に留め置かれ、長年にわたって差別と迫害を受け続けている。これまで、特に2017年の衝突以降、多くの人々が隣国バングラデシュを主とする国外に逃れているが、バングラデシュの難民キャンプの受け入れはすでに限界を迎えつつあり、ロヒンギャの人々は劣悪な環境下での生活を余儀なくされている。本企画においては、写真家である狩新那生助氏・新畑克也氏が、国境付近のキャンプの中でも世界最大規模のクトゥパロン難民キャンプやビルマ(ミャンマー)の国内避難民キャンプで撮影したものから、展示する作品を選択する。なお、上述のとおり本企画は無国籍ネットワーク・BRAJ共催の写真展の巡回展であるが、同写真展は、日本在住のロヒンギャの当事者団体であるBRAJとの密接な関係のなかで実現した。写真家の両氏が現地を訪問した際も、BRAJの協力を得ている。狩新那氏撮影分の作品については、同氏の近著「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」(2018年、柘植書房新社)と「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」(2017年、柘植書房新社)から選んだものが展示される。新畑氏の撮影時期は2017年と2018年、狩新那氏は2014年と2017年である。

他方、1980年代以降、日本に逃れてきたロヒンギャも徐々に増加しており、現在、250人から300人程度が国内に居住していると推定される。そのほとんどが群馬県館林市に集住しており、多くが難民認定を受けたり、在留特別許可を得た人やその家族であるが、就労資格がなく不安定な仮放免の状態である場合もある。HSFでは、当時館林市に暮らしていたロヒンギャ女性の協力を得、2017年7月に、ロヒンギャの子供たちを対象とした学習支援プロジェクトを立ちあげた。現在も館林市内の公民館において、隔週で学習支援活動を展開しており、各回数名から十数名の子ども(未就学児から中学生まで)の参加がある。彼らの多くは日本で生まれた日本語話者であり、日本の学校に通学し、日本語を用いて勉強している。本企画では、こうしたHSFの活動や市内の子どもたちの様子等についても、差し支えのない範囲で紹介していく。

ロヒンギャ難民について

ビルマでの迫害が一層高まった2017年から大量のロヒンギャが村を焼かれ、虐殺を逃れるためにバングラデシュの国境を渡りました。UNHCRによるとその数は70万人を超えると言われています。ロヒンギャに対する差別や迫害と暴力は今始まったことではなく以前からバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民の数と合わせると現在キャンプやその周辺に住んでいるロヒンギャ難民はUNHCRの推計では130万人もいると言われています。いくつもある国境付近のキャンプの中でもクトゥパロン難民キャンプは世界最大規模のキャンプです。今回の写真展で展示する作品はクトゥパロン難民キャンプで撮影されたものと一部はビルマにある国内避難民(IDP)キャンプで撮影されたものです。

ロヒンギャは人種・宗教・民族による理由から長年にわたる迫害を受け続け、世界のあらゆる国へと逃れていきました。ミャンマー連邦共和国の以前の軍事政権により国籍を奪われ、無国籍の状態に置かれ、今もそのことが難民危機の重要な課題となっています。1980年代後半から日本に庇護を求める人もおり、これまで日本で難民申請をした者は120人程度いると言われています。難民認定や在留特別許可が与えられた者は100人近くいます。呼び寄せられた家族、日本で生まれた子ども、まだ在留資格が与えられていない方を含め、250人から300人のロヒンギャが日本に住んでいると推定されています。多くのロヒンギャは日本の群馬県館林市に集住しており、市民社会の一員として長年にわたって暮らしてきました。

This year as a side event for the JAHSS・JASID Joint International Conference

【写真家】Photographers

狩新那生助(かりにいな しょうすけ)フリーランス・フォトグラファー

フリーランス・フォトグラファーとして何度もビルマとバングラデシュの国境地域を訪れています。

著書には「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」(2018年)と「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」(2017年)。いずれもバングラデシュ国境付近にあるクトゥパロン難民キャンプとその周辺に住む人たちの生活の様子を撮った作品です。

今回の写真展では両方の写真集から選んだ作品を展示します。

Shosuke Kalinina has visited the border region of Burma and Bangladesh many times as a freelance photographer and at this exhibition we will be displaying photos taken in 2014 and in 2016 (published in 2017 and 2018 respectively), both inside and in the surrounding areas of the Kutupalong refugee camp. His publications include 「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」[Tears of Kutupalong: Rohingya People Enduring Life in a Refugee Camp] (2018) and 「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」[Beyond the Naf River: Rohingya People Surviving in Bangladesh] (2017).

新畑克也(しんばや かつや)ドキュメンタリー・フォトグラファー

2017年にミャンマー(ビルマ)国内(シットウェのIDPキャンプ)で撮った写真と2018年にバングラデシュ側のクトゥパロンで撮影した写真から選んだものを展示します。ビルマとバングラデシュの両方に住むロヒンギャの生活の様子を撮った作品です。

ミャンマー祭り2019『日本・ミャンマー交流写真展』優秀賞

Katsuya Shimbata has been visiting Rakhine State as a documentary photographer in recent years. He has taken photos of Rohingya living inside Burma in Rakhine state in 2016 and has also visited the Kutupalong refugee camp in Bangladesh in 2017. At this exhibition we are displaying works taken in Kutupalong refugee camp, and those taken in a camp inside Burma for internally displaced people (IDPs).

He received an Award of Excellence for his work displayed at the Japan Myanmar Photo Exhibition at the 2019 Myanmar Festival in Tokyo.

 

 

10周年記念と出版記念ついて9月14日にTBSラジオで放送予定!!

8月24日(土)に開催した「無国籍ネットワーク設立10周年・出版記念シンポジウム 〜 無国籍の人々と歩んだ10年とこれから」の様子がラジオで放送されます。
放送予定日: 9月14日(土)
放送局: TBSラジオ
放送時間: 8:20〜
番組名:「蓮見孝之まとめて!土曜日」の中の「人権TODAY」コーナー
https://www.tbsradio.jp/horio-human/

時間がある方は是非聞いてください!

A program about the symposium commemorating the 10th anniversary of Stateless Network and the publication of the book by Dr. Junpei Yamamura that was held on August 24 will be broadcast on TBS Radio.
Radio Station: TBS Radio
Date: September 14, from around 8:20 AM
Program: “Jinken Today – Human Rights Today”
Website of the station: https://www.tbsradio.jp/horio-human/
Please enjoy the program!

無国籍の人々と歩んだ10年とこれから ―無国籍ネットワーク10周年記念・出版記念シンポジウム―

プログラム

1.無国籍ネットワークのあゆみ

2.出版記念と連続セミナーのまとめとして、山村医師と当事者との対談。

山村淳平・陳天璽共著『移民がやってきた−アジアの少数民族、日本での物語』

3.基調講演 新垣修教授(ICU)『無国籍のこれまでとこれから』

4.無国籍の当事者、専門家、ユースなどによるラウンドテーブル

 

場所:早稲田大学11号館710教室 MAP

時間:15:00~17:00

※イベントの後に懇親会を開催する予定。詳細は当日口頭で説明する。

予約:フォーム

Poster PDF

山村淳平・陳天璽共著『移民がやってきた−アジアの少数民族、日本での物語』出版記念について 出版社リンク)

https://i1.wp.com/www.genjin.jp//images/book/472815.jpg?resize=281%2C402

山村淳平医師の連続セミナーの内容をまとめ、山村医師と無国籍ネットワークとが協力して編集した著書の出版記念。山村先生の10年以上に及ぶ日本に暮らす難民申請者や強制移動を経験したアジアの様々な国から逃れて来日した人たちに寄り添って支援してきた実践から出来た信頼関係がこのプロジェクトのベースにある。その関係から無国籍ネットワークと共に2年にわたって連続セミナーの形でトークイベントを行い、その内容をまとめたものだ。さらに、日本の難民申請制度事態に関するデータとそれについての分析と解説を加えている。今の日本に滞在する移民(強制移民や庇護希望者/難民、無国籍者)が直面する様々な問題について知るための重要文献の一つとなるだろう。さらに、多くの場合、日本に庇護を求めて来た人が出身国では少数民族や宗教的マイノリティーであることに着目することで、一つの民族や宗教的アイデンティティを中心とする国民国家のナショナル・アイデンティティに関するイデオロギーがマイノリティーの集合的なアイデンティティを抑圧し、迫害し、かれらが国外へと避難するように追い詰める状況を取り上げている。「移民がやってきた」理由は、多くの場合、本国で少数民族やマイノリティーとして生きることが許されず、迫害の対象となり、日本に庇護を求めることになったからなのである。

 

無国籍ネットワーク10周年記念について

陳天璽(ララさん)が10年前に知り合いや他の無国籍の当事者、弁護士等に声をかけて発足した無国籍ネットワーク。小さなボランティア団体として、地道にしかし誠実に活動を続けてきた。無国籍の方に寄り添い、その経験について聞くというのを活動の中心としてきた。その経験に基づいた情報をトークイベントなどを通して発信することで、無国籍者の状況やかれらが抱える問題を引き起こす日本の制度上の問題を指摘してきた。また、法律相談を通して、無国籍者の抱える法的な問題について話を聞き、速やかに弁護士と当事者とを繋げて個々の問題の解決に向けて貢献してきた。また、弁護士、学者、活動家と連携して無国籍と関連する問題(難民申請者、仮放免、収容)について情報発信と議論ができる場を設けてきた。特に、当事者自身の語りの場を設けることに務めてきた。ボランティア団体としてずっと活動を続けてこられたのは、当事者と活動を支えてくれた会員や賛助会員、メーリスに登録された方々を始めとするすべての人のおかげでもある。その応援と支援に対しても感謝の気持ちを込めて今回の10周年記念を開催したい。

 

 

 

 

 

 

写真展 「われわれは無国籍にされた」— 国境のロヒンギャ — (6/20 – 6/23) Photo gallery: “We are made Stateless”: Rohingya on the Border (6/20 – 6/23)

写真展 「われわれは無国籍にされた」— 国境のロヒンギャ — (6/20 – 6/23) Photo gallery: “We are made Stateless”: Rohingya on the Border (6/20 – 6/23)

写真展について

[English Below]

6月20日世界難民の日から23日まで、無国籍ネットワーク十周年記念のイベントの一つとして、在日ビルマ・ロヒンギャ協会と共に館林市でビルマ(ミャンマー)とバングラデシュの国境地域に逃れた、ビルマによって無国籍にされたロヒンギャ難民をテーマに写真展を開催します。

ビルマでの迫害が一層高まった2017年から大量のロヒンギャが村を焼かれ、虐殺を逃れるためにバングラデシュの国境を渡りました。UNHCRによるとその数は70万人を超えると言われています。ロヒンギャに対する差別や迫害と暴力は今始まったことではなく以前からバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民の数と合わせると現在キャンプやその周辺に住んでいるロヒンギャ難民はUNHCRの推計では130万人もいると言われています。いくつもある国境付近のキャンプの中でもクトゥパロン難民キャンプは世界最大規模のキャンプです。今回の写真展で展示する作品はクトゥパロン難民キャンプで撮影されたものと一部はビルマにある国内避難民(IDP)キャンプで撮影されたものです。

ロヒンギャは人種・宗教・民族による理由から長年にわたる迫害を受け続け、世界のあらゆる国へと逃れていきました。ミャンマー連邦共和国の以前の軍事政権により国籍を奪われ、無国籍の状態に置かれ、今もそのことが難民危機の重要な課題となっています。1980年代後半から日本に庇護を求める人もおり、これまで日本で難民申請をした者は120人程度いると言われています。難民認定や在留特別許可が与えられた者は100人近くいます。呼び寄せられた家族、日本で生まれた子ども、まだ在留資格が与えられていない方を含め、250人から300人のロヒンギャが日本に住んでいると推定されています。多くのロヒンギャは日本の群馬県館林市に集住しており、市民社会の一員として長年にわたって暮らしてきました。

今回写真展を館林市で開催することによって日本人の住民と同じ館林市民であるロヒンギャとの交流と理解の機会になることを願っています。もちろん、現在難民キャンプで、あるいはビルマ国内で、悲惨な状況に置かれているロヒンギャの現状を伝えるのも目的の一つです。特に、館林市を中心に活動している在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)によるバングラデシュの難民キャンプに向けた支援活動を紹介する予定です。

About the Exhibition

The Stateless Newtwork together with BRAJ will be hosting a photo exhibition featuring Rohingya refugees made stateless by the Burmese government and who are now living in Refugee camps in Bangladesh. Starting on June 20 which is World Refugee Day and finishing on the 23rd this is also one of the Stateless Networks 10 year anniversary events being held this year.

In 2017 the ongoing persecution of Rohingya in Myanmar (Burma) reached an unprecedented level of violence as villages were burned and massacres were taking place. As a result, many Rohingya were forced to flee across the border with Bangladesh. According to the UNHCR their numbers exceed 700 thousand. The discrimination, persecution, and violence directed against Rohingya has been ongoing for the last few decades. When those who had already fled across to Bangladesh in previous years, and who had been living in camps and surrounding areas, are added to those newly arriving refugees, their numbers, according to the UNHCR, come to around 1.3 million. Among the many camps near the border the Kutupalong refugee camp has become the largest refugee camp in the world. The photos on display at this exhibition are mostly taken in and around Kutupalong refugee camp, as well as a selection of photos taken in a camp for internally displaced people (IDPs) inside Burma.

Rohingya, who have faced persecution for many years inside Burma based on issues of race, religion, and ethnic identity, have fled to many countries around the world seeking asylum. They were made stateless because their citizenship has been denied by the previous military government of the Republic of the Union of Myanmar, and this continues to be a major issue of contention in the current crisis. Rohingya have been seeking asylum in Japan since the end of the 1980s, and it is estimated that around 120 Rohingya have sought asylum in Japan. Around 100 have been granted refugee status or humanitarian protection by the Japanese government. When including family members brought to Japan, children born in Japan, and those still waiting for their asylum claims to be accepted, the number of Rohingya living in Japan is estimated to be around 250 to 300 people. Tatebayashi city, in Gunma prefecture has the largest concentration of Rohingya in Japan where they have been living as members of civil society for many years.

It is hoped that the gallery will provide an opportunity for interaction and understanding between Japanese residents of Tatebayashi city and Rohingya who are also residents of the city. The exhibition also aims to raise awareness of the plight of Rohingya in the camps and of those remaining inside Burma. The exhibition also aims to provide an opportunity for promoting the activities of Burmese Rohingya Association in Japan (BRAJ) directed towards assisting refugees living in the camps in Bangladesh.

【写真家】Photographers

狩新那生助(かりにいな しょうすけ)フリーランス・フォトグラファー

フリーランス・フォトグラファーとして何度もビルマとバングラデシュの国境地域を訪れています。

著書には「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」(2018年)と「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」(2017年)。いずれもバングラデシュ国境付近にあるクトゥパロン難民キャンプとその周辺に住む人たちの生活の様子を撮った作品です。

今回の写真展では両方の写真集から選んだ作品を展示します。

Shosuke Kalinina has visited the border region of Burma and Bangladesh many times as a freelance photographer and at this exhibition we will be displaying photos taken in 2014 and in 2016 (published in 2017 and 2018 respectively), both inside and in the surrounding areas of the Kutupalong refugee camp. His publications include 「クトゥパロンの涙―難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族―」[Tears of Kutupalong: Rohingya People Enduring Life in a Refugee Camp] (2018) and 「ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族―」[Beyond the Naf River: Rohingya People Surviving in Bangladesh] (2017).

新畑克也(しんばや かつや)ドキュメンタリー・フォトグラファー

2017年にミャンマー(ビルマ)国内(シットウェのIDPキャンプ)で撮った写真と2018年にバングラデシュ側のクトゥパロンで撮影した写真から選んだものを展示します。ビルマとバングラデシュの両方に住むロヒンギャの生活の様子を撮った作品です。

ミャンマー祭り2019『日本・ミャンマー交流写真展』優秀賞

Katsuya Shimbata has been visiting Rakhine State as a documentary photographer in recent years. He has taken photos of Rohingya living inside Burma in Rakhine state in 2016 and has also visited the Kutupalong refugee camp in Bangladesh in 2017. At this exhibition we are displaying works taken in Kutupalong refugee camp, and those taken in a camp inside Burma for internally displaced people (IDPs).

He received an Award of Excellence for his work displayed at the Japan Myanmar Photo Exhibition at the 2019 Myanmar Festival in Tokyo.

【詳細】 Details

【場所】館林市三の丸芸術ホール 展示室 (Web)
〒374-0018
群馬県館林市城町1-2 (Map)
(東武伊勢崎線館林駅から徒歩10分)

[Venue] Tatebayashi City Sannomaru Arts Hall, Exhibition Room (Web)

1-2 Shiromachi, Tatebayashi City, Gunma Prefecture, Japan (Zip Code: 374-0018) (Map)

【会期】2019年6月20日(木)から23日(日)
Dates: June 20 (Thursday) to June 23 (Sunday) 2019.

【時間 TIME】10:00~21:00

【写真家】狩新那生助(かりにいな しょうすけ)・新畑克也(しんばた かつや)

Photographers: Shosuke Kalinina and Katsuya Shimbata

【共催】在日ビルマ・ロヒンギャ協会、無国籍ネットワーク、無国籍ネットワークユース

Cohosted: Burma Rohingya Association in Japan (BRAJ), Stateless Network, Stateless Network Youth

【問い合わせ Contact】officer@stateless-network.com

Flyer Japanese PDF

Flyer English PDF

 

 

第14回 すてねとカフェ大阪 報告 

第14回 すてねとカフェin大阪を開催しました。

無国籍ネットワークでは、2019年3月16日に「すてねとカフェin大阪」を開催しました。毎回ご参加下さるメンバーの方や初めて足を運んで下さった方など、15名ほどの参加がありました。

前半は、このたび無国籍ネットワークが新たに交流を始めた「NPOみぎわ」の松原宏樹さんより特別養子縁組についてお話いただきました。「NPOみぎわ」さんは、奈良県を拠点とした第二種社会福祉事業特定非営利活動法人で、生みの親がどうしても育てることのできない赤ちゃんを特別養子縁組して育ての親に託したり、養子縁組が困難な障害を持った赤ちゃんを引き取り、家庭に近い形で育てるといった主に「子どもの命を救う」活動をされています。その他にホスピスケアの理念に沿って病や障がいがあっても最期まで寄り添う家「ホームホスピスみぎわ」も運営されています。

まず、昨今の児童虐待ニュースを例に挙げながら多くの幼い命が奪われている現状が示され、児童相談所の対応への批判が高まっているのはもっともであるが、非正規雇用が多くを占める児童相談所の雇用形態で急増する相談への対応が不可能である点について説明がありました。また虐待による死亡の時期については、出生0日目が圧倒的に多くなっている、つまり、出産したもののそのまま亡くなるという形の虐待が多いとの説明がありました。さらに年間約20万人の中絶、1日に465人、3分に1人の赤ちゃんが中絶されているという具体的な数字が述べられ、実際にはこれ以上の赤ちゃんが中絶されているはずであるとのお話がありました。中絶という名の「合法的殺人」が大きな社会的な問題になることなく受け入れられている現代日本の姿がグラフ等とともに示されました。また、昨今の技術進歩により、出生前の検査が可能になった反面、異常が見つかった場合の90%以上が中絶を選択しているとの指摘もありました。

無事に生まれてきても実親と暮らせない子どもの環境は、施設擁護と家庭擁護に分類されます。施設擁護には、原則0〜2歳の乳児院と原則3〜18歳の児童養護施設などがあり、家庭擁護には、里親、ファミリーホーム、養子縁組があります。最後の養子縁組のなかに普通養子縁組と特別養子縁組があり、「NPOみぎわ」さんは後者の特別養子縁組をサポートされています。特別養子縁組は、6歳未満の子どもの福祉を目的としてつくられた制度で、血のつながりのない育ての親と子どもが法律上、実の親子になり、親権は実親から養親へと移ります。日本では社会的養護を必要とする子どもの大半は乳児院や児童養護施設などにとどまっており、里親と一緒に暮らす割合が、オーストラリア(2014〜15年)では91.5%、英国(2015年)および米国(2014年)では75%に対し、日本ではわずか15%と際立って低い点が明らかにされました。2018年10月時点の日本では、生みの親のもとで育つことのできない子どもの数が約46,000人で、そのうち15%が里親家族、85%に当たる約39,000人が乳児院・児童養護施設で暮らし、わずか0.8%が特別養子縁組で家庭に引き取られているという状況です。無国籍ネットワークではこれまで家庭のない無国籍の子どもなどに関する相談はあまり寄せられていませんが、私たちが知らないだけかもしれません。多様化する現代社会において、今後このような課題が出てきても不思議ではありません。今回「NPOみぎわ」さんのお声がけにより始まった交流を通して、救える命は何としても守りたいという松原さんの強い思いが伝わってきます。国籍の有無にかかわらず重要な問題ですが、無国籍者にとっては法制度が壁となって消えている命があるかもしれません。無国籍ネットワークとしてもこのつながりを大切に育み、命を救うお手伝いをしていきたいと思います。

 後半は当ネットワークの運営委員の丁章さんより「ニュージーランドVISA取得顛末記2018」と題したお話がありました。在日コリアン3世、「無国籍の朝鮮籍」である丁さんは、2018年11月30日〜12月4日にかけてニュージーランドで開催された、在日コリアンをテーマにしたシンポジウムに詩人として招聘されました。「無国籍の朝鮮籍」の丁さんは朝鮮民主主義人民共和国のパスポートも大韓民国のパスポートも持っていません。日本が発行する「再入国許可書」を旅券代わりにして日本を出入国しています。これまで中国、台湾、シンガポール、オーストラリアに入国したことがあります。そして、今回初めてのニュージーランド渡航を予定したのですが、出発当日の空港で、発給されたと思っていたビザが下りていないとわかり、予約していた飛行機に乗れなかったという「顛末」のお話でした。特に今回は大学生になったお嬢様とのふたり旅ということもあり、楽しみにされていたニュージーランド訪問でしたが、お嬢様の初海外一人旅という別の形での「顛末」となってしまいました。

今回丁さんにビザが発給されなかったのは、ニュージーランド移民局から送られきた郵便をビザ発給の知らせだと丁さんが誤認したのが原因という形になってしまっていますが、丁さんは、ニュージーランド移民局のメールの伝え方がとても紛らわしいもので、はじめから発給を拒むつもりではなかったのかとの疑いをもっています。ニュージーランドのシンポジウムには朝鮮民主主義人民共和国のパスポートを持った在日朝鮮籍の研究者の方も参加されましたが、その方のビザが下りたのは出発当日だったそうです。丁さんがそれをニュージーランド移民局の嫌がらせではないかと考えているのも不思議ではありません。移民国家として多様な共生社会づくりを率先している寛容な国というイメージがありますが、今回の朝鮮籍者への対応をみると「ニュージーランド、おまえもか」という丁さんの強い思いが伝わってきました。

参加者からは寛容な国というイメージ自体が間違いであって、大陸的な大らかさを有するオーストラリアのあり方と比べてニュージーランドは部外者に対して閉鎖的な側面があるとの意見が出されました。豊かな自然やフレンドリーな対人関係などがニュージーランドの寛容さであると認識してしまうのも無理のないことですが、出入国管理の実務などでは閉鎖的な面があるのかもしれません。また、グローバル化が強まる一方でナショナルレベルでの線引きが強化されているのはニュージーランドだけに見られる傾向とは言い切れません。変動する現代社会の越境について改めて考える機会を与えていただいたお話でした。

(無国籍ネットワーク運営委員 梶村美紀)

写真展:「われわれは無国籍にされた」—国境のロヒンギャー ”We are made Stateless”: Rohingya on the Border

Stateless Network Youthが主催する写真展 「われわれは無国籍にされた」—国境のロヒンギャー、”We are made Stateless”: Rohingya on the Border
ビルマとバングラデシュの国境地域のバングラデシュ側に逃れたロヒンギャ・ムスリムやビルマ国内で避難しているロヒンギャの状況を写真に収めた二人の写真家の写真を展示します。ギャラリーは14日から21日までです(16日は休みなのでご注意ください)。また、日本に在住するロヒンギャが現地の人に対して行っている支援活動についても紹介させていただきます。

 


The Stateless Network is proud to announce that Stateless Network Youth will be holding a photo exhibition featuring two Japanese photographers who have covered the situation of the Rohingya who have fled across the border with Bangladesh, or who remain internally displaced within the country. The exhibition will be from the 14th until the 21st of December (the gallery will be closed on the 16th). There will also be information on the activities of Rohingya living in Japan who are working to assist those on the border.

 

【二人の写真家のプロフィール】

狩新那 生助(かりにいな しょうすけ)

通信社カメラマンを経てフリーランスに。アジアを中心に難民など困苦の中にある人々の姿を追っている。写真集に「ナフ川の向こうに~バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族~」(柘植書房新社刊)、「クトゥパロンの涙~難民キャンプで生き抜くロヒンギャ民族~」(柘植書房新社刊)がある。
https://ja-jp.facebook.com/shosukekalinina/

 

新畑 克也 Katsuya Shimbata

1979年広島県呉市生まれ。東京都在住。
2010年に初めて訪れたミャンマーに魅了され、同国へ幾度も通い旅先での人々との出逢いを写真に収め始める。2015年より西部ラカイン州で多くの困難を抱えながら生きるロヒンギャの集落や難民キャンプを訪れ彼らの暮らしを見つめ続ける
HP: http://www.katsuyashimbata.com/
FB: https://www.facebook.com/kman57move

場所:

早稲田大学 27号館B1ワセダギャラリー

〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1丁目6−1

1 Chome-6-1 Nishiwaseda, Shinjuku-ku, Tōkyō-to 169-0051

https://goo.gl/maps/fGxeKVimPLE2

参加:無料

無国籍ネットワークセミナー11月17日「一世と二世のあいだ」報告

無国籍ネットワークセミナー11月17日

「一世と二世のあいだ」報告

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

2018年11月17日、早稲田大学にて 連続セミナー第8回「一世と二世のあいだ」を開催しました。2017年から2年間、8回の連続セミナーを開催し、さまざまな無国籍・難民の当事者の方の話を聞き、日本に住むマイノリティーと難民についての理解を深めました。今回はビルマ出身のカチン族のマリップさんと娘さんのセンジャトイさんに、 日本に渡って来た一世と日本で生まれ育った二世、両方の話を聞くことができました。

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

マリップさんはミャンマー政府の迫害を避けるために日本に渡って来ました。カチン族とミャンマー政府の紛争は1961年に始まり、まだ続いています。数千人の一般人が命を失い、10万人以上の避難民が発生しました。[1]日本に来てからもカチンを含めた少数民族への支援を続けていたマリップさんは、2012年、NPO法人PEACEを設立しました。PEACEでは日本語・英語・ミャンマー語の教育とミャンマー国内における国際協力事業に取り組んでいます。「日本に渡ってきた人たちが一番苦労するのが日本語です。それを見て、日本語教室を開きました。PEACEで日本語を学んで、就職したり、日本語能力試験に受かったりします。」とマリップさんは言語教育の重要性を強調しました。そんなマリップさんの姿を見て、娘のセンジャトイさんもPEACEの活動に取り組んでいます。お母さんがいつも周りの人を助けているのを見て、自分も人に役に立てる仕事をしたいと思ったセンジャトイさんは、今大学で国際関係を勉強しています。

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

センジャトイさんは、自分の名前が他の人と違ってカタカナということで、いじめられたことがあります。日本で生まれ育ち、一度も本国のビルマで暮らしたことがないのにも関わらず、外国人のような扱いをされ、一時期「通名」を使っていた時期もあったようです。ところがある日、在日コリアンが植民地時代に民族名を奪われ、通名を使っていたという話を聞き、自分のアイデンティティーにプライドを持ち、本名に戻ることに決めました。「見た目で判断せずに、心を開いて人を接して欲しいです。」センジャトイさんは日本にマイノリティーとして暮らしている人々を代弁しました。

今回のセミナーには、無国籍ネットワーク・ユースのメンバーを含め、たくさんの学生が参加しました。同世代のセンジャトイさんからの話から刺激を受けた学生たちとセンジャトイさんの対話は、休み時間が終わるまで続きました。「今後どういう仕事をしたいのか」の質問に対して、センジャトイさんは「まだ決めてはないが、ビルマにいるカチンの人々の役にたつ仕事をしたい」と答えました。マリップさんもPEACEや他の活動を通じて、日本国内・ビルマ現地の少数民族に出来るだけのサポートをしていきたいと付け加えました。特定非営利活動法人PEACE:https://www.npopeacejapan.com

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

8回の連続セミナーを通して、普段の生活の中だったら出会えないかもしれない難民や無国籍の当事者の本国と日本での経験を

©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

聞くことができました。山村先生との対談の形で当事者の人生を振り返り、来日を決めた理由と来日してから苦労した経験、難民申請のプロセスや家族の話など、色んなことを語りました。そこで一番印象的だったのは、難民として来日し生活が苦しかった当事者の方々が、それにも関わらず周りの人を助けようとしたところでした。ずっと難民として認められず、子供が無国籍状態のエルマスさんは、日本語が分からないクルド人のために通訳をしていました。(第3回, 2017年9月30日)そして医療分野の仕事をしているネパール系日本人(親がチベット難民)の塩田ドルジさんは、日本語が分からない患者のため、毎週新宿区のクリニックで英語とチベット語で診療をしていました。(第7回, 2018年11月17日)

 

「難民の背景を持つ人はいつまでも頼り続ける」という偏見を克服し、日本という新しい居場所で暮らしていく方々に出会えたセミナーでした。

 

写真©McIntyre/無国籍ネットネットワーク

[1] Beech, Hannah. “Inside the Kachin War Against Burma | Time.” Time, November 21, 2014. http://time.com/3598969/kachin-independence-army-kia-burma-myanmar-laiza/.

 

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