【イベントレポート】2016年10月15日 第3回 無国籍ネットワーク・トークイベント「難民・国籍・アイデンティティ」

10月15日(土)に行われた第3回無国籍ネットワーク・トークイベントの様子をご報告致します。

次回は2016年11月19日(土)早稲田大学にて、精神科医 野田文隆氏による講演会「帰る国無き難民のこころ」を予定しております。詳細が決まりましたら、改めてご案内致します。

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10月15日(土)、「難民・国籍・アイデンティティ」について考えるトークイベントが早稲田大学で開催されました。当日は学生を含め22名の方が参加。無国籍ネットワーク運営委員の池辺利奈氏から、修士論文の一部である「在日ロヒンギャの民族的アイデ
ンティティの変容」と題する報告。後半は同運営委員のスティーブン・マキンタヤ氏をファシリテーターに国籍やアイデンティティについて議論するワークショップが行われました。

 

6月に行われたトークイベント に引き続き、池辺氏はさらに踏み込んで、難民と移民の定義の解説に加えアイデンティティの形成に関する理論について説明しました。それをふまえ在日ロヒンギャの心境の変化、母国においてロヒンギャであることを否定的に捉えていたものの、国外への移動を機にロヒンギャとしての意識・自信を持つようになったことなど、独自に行ったインタビューから見えてくる在日ロヒンギャのアイデンティティの変容の経緯について報告されました。また調査方法やインタビューのデータ整理や分析の方法について聞くこともでき、今後卒論を書く学生にはとても参考になったと思います。40分の報告の後、参加者からたくさんの質問がありました。「どうしてロヒンギャの研究をしようと思ったのか」、「日本に住むロヒンギャはどのような経緯できたのか」、「ミャンマーでは具体的にどのような差別を受けているのか」、「民族を分ける要因はどこにあるのか」など、活発な議論が行われました。

 

続いたワークショップでは4~5人1グループで全5チームに分かれました。マキンタヤ氏は最初に「日本国籍を持っている外国人」、この表現についてどう思うかと問いかけました。それ以外にも今回のテーマである「難民・国籍・アイデンティティ」に関連したトピックについて話し合いました。日本人としてのアイデンティティとは何か、今後日本にくる移民や難民にどう対応するのか、その長期化により国籍を与えるべきか、移民や難民の子供の教育はどうするのか、などを論点に意見交換をしました。参加者からは、「普段自分が日本人だと意識することはあまりないけれど、海外にいる時は日本人だと思うことはある」、「移民、難民、日本人関係なく子供が教育を受ける機会の平等は大事である」、「日本の教育システムは統一化されたところがあり、文化の違いにどこまで対応できるのか」「日本人と移民・難民が交流する機会の必要性」、「受け入れはだれが行うのか、それは国なのか地域なのか」、「国家にもたらす利益について考えるが故に受け入れに消極的な傾向があるのではないか」と様々な意見や疑問がでました。議論が盛り上がったため、2時間を予定していたイベントもあっという間に時間が過ぎ30分の延長で終えました。

 

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かつて無国籍であった方や二重国籍の方もそれを他の参加者に共有して、とてもオープンに語り合える場であったと思います。出席者へのアンケートでは、「難しい話題ではあったが、とても勉強になった」などの感想が寄せられました。議論を通して、今後日本は排外主義をどのように解決していくのかと、新たに浮上した課題もあり、これからもみなさんと一緒に考えていきたいです。

 

無国籍ネットワークユース代表

東 美華

 

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